パブリックドメインについて

著者:【弁理士】 坂根 剛

※こちらの情報は2023年4月時点のものです

2023年はどんな年になるでしょうか。過去3年間は、長い長いコロナとの闘いでした。今年は、コロナが人々の関心から遠ざかるような年になって欲しいものです。2022年は、ロシアによるウクライナ侵攻が長く続いた年でもありました。まだまだ出口は見えない状況ですが、今年は、この重苦しい状況が少しでも明るい方向に向かうことを願います。さて、著作権の世界では、毎年多くの著作物がその保護期間を終えることになります。2023年にも、著名な作品を含め多くの著作物がパブリックドメインとなりました。パブリックドメインとは、著作権をはじめとする知的財産権が発生していない、誰でも利用できる状態のことをいいます。

米国における新たなパブリックドメイン

米国の著作権法では、1923年から1977年の間に発行された著作物に対して、その著作物の発行から95年の保護期間が与えられています。これにより、2023年1月1日には、1927年に米国で発行された著作物が米国でパブリックドメインとなりました。
パブリックドメインとなった中で注目を集めているのが、アーサー・コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ短編集」です。他にも、アガサ・クリスティの「ビッグ4」、ハーバート・アシュベリーの「ギャング・オブ・ニューヨーク」などが、2023年にパブリックドメインとなりました。
なお、1927年発行の著作物がパブリックドメインとなるのは、米国著作権法下での適用であり、他国の著作権法では適用年が異なります

ミッキーマウスの著作物

著作権ではいつも話題の中心にあるのがウォルト・ディズニー社が保有するミッキーマウスの著作物です。ミッキーマウスは、1928年に発表された「蒸気船ウィリー」で初めて登場したとされます。したがって、この年に発表された著作物には、上記のとおり、95年間の保護期間が適用されるため、2023年末で権利が満了することになります。ミッキーマウスのオリジナルの著作物は、2024年以降はパブリックドメインとなる予定です
ミッキーマウスの著作物が2023年末にパブリックドメインとなるのも、米国著作権法での話であり、他国では適用年が異なります。日本におけるミッキーマウスの著作権の保護期間については諸説があり、はっきりしていません米国で保護期間が満了した場合でも、日本では当面パブリックドメインとして扱うことはリスクがあります

WEBサイトなどにキャラクターなどの画像を使用する場合には、著作権のチェックが必要です。パブリックドメインは、誰でも自由に使用することのできる著作物ですので、本来は、WEBサイトなどにも自由に使用できるはずです。しかし、実際には、他にも注意すべき点があり、なかなか安心して利用できるという訳にはいきません。例えば、米国で1928年のオリジナルのミッキーマウスの著作物の保護期間が満了したといっても、その後、新たに発表されたオリジナルから変化した姿のミッキーには新たに二次的著作物の権利が発生しています。また、ミッキーマウスという商標権は存続しているため、ミッキーマウスという文字とともにオリジナルのミッキーのキャラクターを使用すると、商標権の侵害となる場合があります。いずれにせよ、ウォルト・ディズニー社は、そう簡単にはこのキャラクターから得られる利益をあきらめないでしょう。

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