著作物の違法ダウンロードについて
※こちらの情報は2020年8月時点のものです
日本ではようやくコロナ感染が収束し、緊急事態宣言が解除されました。しかし、世界を見ると未だ感染は拡大を続けています。日本の感染数が低いレベルで収まった理由は、はっきりしておらず、世界的にもその謎の理由が注目されています。理由はともあれ感染が収まったことは喜ばしいことですが、第2波の到来についても懸念されており、長い闘いはまだ続いています。
今回のテーマは、著作物の違法ダウンロードです。従来音楽等の著作物については、違法ダウンロードが規制されていましたが、その規制範囲が漫画等の書籍データにも拡大される見通しです。
著作権法改正案
数年前、違法コピーされた漫画を無料で閲覧可能とする海賊版サイト「漫画村」が問題となりました。現在当該サイトは閉鎖されていますが、この問題を契機に著作権法の改正が進められました。昨年提出された法案は規制範囲が広く、表現行為が委縮されるのではとの反対意見も多いため見送られました。そして先日、規制対象に修正が加えられた改正案が衆議院本会議で可決されました。
従前、違法なダウンロードの対象範囲は、音楽や映像だけでしたが、今回の改正案により対象範囲が、漫画や書籍、論文、さらには、スクリーンショットといった静止画など、すべての著作物に拡大されます。
規制対象外
今回の改正案では、利用者の萎縮を避けるため、いくつかの行為については、規制対象から除外されています。
具体的には、違法にアップロードされたことを知りながら、ダウンロードする行為だけが規制の対象とされています。
対象外
- スクリーンショットにより違法な画像が写り込んだ場合
- 数十ページの漫画の中の数コマといった「軽微なもの」
- 二次創作品(パロディ)のダウンロードは
- 権利者の利益を不当に害しない「特別な事情がある場合」
リサーチサイト
また、改正案には、「海賊版サイト」に利用者を誘導するリーチサイトの規制が盛り込まれています。リーチサイトとは、そのサイト自体には著作物が掲載されているわけでなく、著作物が掲載されたサイトに利用者を誘導するサイトのことを言います。
刑事罰
違法ダウンロードを行う行為が悪質な場合には、刑事罰も科される予定です。
例えば、
- 違法ダウンロードの行為を継続的または繰り返し行った場合
2年以下の懲役または200万円以下の罰金、もしくはその両方 - リーチサイトの運営
5年以下の懲役または500万円以下の罰金、もしくはその両方
が科されることになっています。
まとめ
日本の漫画は世界に誇る文化です。著作物としての漫画を守ることが、漫画文化を保護することにもなります。無料で閲覧できるという誘惑に流されることなく、きちんと漫画を購入して読むことが、漫画文化を保護することにもなります。