コロナ禍における知的財産権の捉え方
※こちらの情報は2021年1月時点のものです
新年明けましておめでとうございます。弁理士の大上です。本年も特許や商標についての話題を提供させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
振り返りますと、2020年は新型コロナウイルスのパンデミックの大きな影響を受けた年でした。夏頃には収束するとの楽観的な見通しもありましたが、未だ見通しが立たない状況です。感染症対策としてテレワークも急速に広がり、いわゆる新しい働き方、新生活様式への移行など、これまで経験のないことを多く取り入れる必要があり、試行錯誤の繰り返しの一年であったものと思われます。雇用、資金繰りなど一気に問題が山積みとなった経営者のお話も多くうかがいました。
最近よく感じることは、提供されるサービスの縮小化とIT化です。例えば、コールセンターに電話をした際に、対応時間が短縮されて繫がらなかったり、長時間待つ(ときに、だれもいないのではないか? と疑ってしまいます(笑))ことが劇的に増えたと感じます。イライラしても意味がありません。最近は事前に調べたり、混みそうな時間帯を避けるなどをするようになりました。また、そもそもコールセンターが閉鎖され、メール対応のみも増えたと感じます。補助金・助成金関係もオンライン申請が普通になりました。これら変化は急速に訪れ、利用者側には柔軟に適用できる能力、心構えがより求められる時代になったと感じます
前置きが長くなりましたが、今回はコロナ禍における知的財産権の捉え方について記事にしたいと思います。
1.無形資産という考え方
特許権、商標権、著作権などは無体財産権と言われ、財産権の一つであり、譲渡をすることも可能です。譲渡することで、いわゆる現金化が可能となります。よい譲渡交渉ができれば、資金繰り対策の一つとして有効なものとなりえます。体感的には、このコロナ禍において商標権の譲渡手続きの受任が増えた印象があります。
2.いわゆる棚卸し
特許権、商標権などを維持するには維持年金を支払わなければなりません。保有する権利が多い場合にはその分維持コストとして経営に大きくのしかかります。支払いの時期になりましたら、権利の必要性について改めて検討し、不要な権利については放棄をされることも賢明です。
3.権利収入という考え方
いわゆる第三者に使用許諾をすることによるライセンス収入です。月次、年次でのライセンス収入は、経営の安定化に多大に貢献するものであり、特に、今回のような疫病のパンデミックが生じた際には貴重な売上高となりえます。
4.将来への投資
上記3の権利収入との関係で言えば、ライセンス収入の種を作るということになります。特許権や商標権(ブランド価値)を取得や維持するにはコストがかかるものですが、有効に活用することで十分に回収することが可能です。各種補助金を活用することで、コストを圧縮することも可能です。
まとめ
2021年もwithコロナの対応が求められる一年となりますが、知的財産権についても短期的、長期的な目線で柔軟なご対応をすることが重要であると考えます。