【Q&A】同一労働同一賃金 均衡待遇の点検・検討手順②

※こちらの情報は2021年3月時点のものです

Q.相談内容

ポケットプレス2月号(https://www.cacgr.co.jp/column/consult/1628/)で、パートタイム・有期雇用労働法の「同一労働・同一賃金」について第一段階、第二段階をご説明いただきましたが、第三段階、第四段階の手順はどのようにすれば宜しいのでしょうか。

A.回答

以下の通りです。なお、均等待遇を図らなければならない取組対象労働者は、すべての待遇について比較対象労働者と同じ取扱いにしなければなりません。そのため、以下は均衡待遇を図らなければならない取組対象労働者が対象となります。

第三段階(点検・検討マニュアルP37~P55)

比較対象労働者と比較して待遇が異なる場合は、すべての待遇について不合理な待遇差を設けてはなりません。

すべての待遇について、「職務内容」、「職務内容・配置の変更の範囲(部署異動や転勤)」「その他の事情」の3つ(以下、3考慮要素)のうち、その待遇の「性質・目的」を明らかにした上で、不合理でないか否か判断していきます。
具体的には、3つの手順を行います。

①【「性質・目的」を次の観点から明らかにする】

●なぜ、その待遇に関する制度を設けたか。
●どのような事象に対してその待遇を支給・付与するのか。
●その待遇を労働者に支給・付与することにより、どのような効果を期待しているか。

②【3考慮要素のどれに当たるか判断する】

●複数該当する場合も考えられます。

③【②で判断した考慮要素に基づき、違いがある理由について不合理でないか判断する】

①~③について事例を踏まえて、さらに具体的に説明致します。
【例】賞与 支給要件:会社への貢献度を考慮して支給する。①

●複数店舗を展開する不動産賃貸業の会社で、本社の総務部で勤務する正社員には賞与を支給し、同部署で勤務するパートタイマーには支給していない。
●正社員とパートタイマーは同じ業務を行うが、正社員は支店への異動・転勤があり、パートタイマーには異動・転勤がない。②
→この場合は、均衡待遇にあたり、職務内容は同じですが、職務内容・配置の変更の範囲は異なるため※に該当します。

賞与は支給要件から、会社への貢献度を考慮して支給していますが、パートタイマーに全く支給しないとなると、正社員と同じ業務を行うパートタイマーも、通常に勤務していれば何らかについて会社へ貢献しており、賞与を支給しないときは不合理と判断③される恐れがあると考えられます。

第四段階(点検・検討マニュアルP56~P58)

是正策を検討し、実行します。
前述した例の是正策については、パートタイマーにも、会社への貢献度を考慮して賞与額を決定し支給することが考えられます。

【参考URL|厚生労働省】
■不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル|リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000494536.pdf