“スーパー早期審査”について

著者:【弁理士】大上 寛

※こちらの情報は2022年11月時点のものです

11月に入り今年もあと2か月となりました。今年も新型コロナウィルスの感染者数が最多を更新し、なかなか収束は難しいようです。
コロナ禍前は、年末年始といえばイベントが目白押し。11月は何となくソワソワしてくる時期だったとおもいます。
コロナ禍の今ではイベントや宴会も少なくなり、年末年始という感覚もだんだん薄れていっているような気も致します。漫然と過ごしてしまいがちですが、自分なりにスケジュールを組み立て、目標設定や計画設定をすることが大切だとおもいます。
さて、今回は前回(9月号)記事に引き続き特許の早期審査に関する話題ですが、“スーパー早期審査”についてご紹介させていただきます。

1.“スーパー”って凄そう(笑)

特許を取得するには審査を経る必要がありますが、通常の審査では時間を要します。分野によってばらつきがありますが、最近では、初回の審査結果が出されるまでにおおよそ10か月という統計があります。
『そんなに待てないよ!』というハカセのようなせっかちなアナタ(笑)。そんなアナタは『早期審査』をリクエストするのがいいでしょう(笑)。リクエストが認められれば数か月(3か月程度)で審査結果を得ることが可能となります。
『いやいや、そんなに待てないよ!』というハカセのようなスーパーせっかちなアナタ(笑)。そんなスーパーなアナタは『スーパー早期審査』をリクエストするのがいいでしょう(笑)。リクエストが認められれば数か月(1か月程度)で審査結果を得ることが可能となります。
おわかりいただけましたでしょうか?
スーパーは、“超”の意味で、“チョー早い審査”といった制度です。
お堅い?特許庁が正式名称に“スーパー”をつけるなんて攻めてますね!
わかりやすくてイイですね!今風に言うと“ヤバい”ですね!

2.とにかく“チョー”速くなる要件は?

チョー早く審査をしてもらうためには、「早期審査請求書」を提出する必要があります。
また、対象となる出願は以下の二種類があります。

  • 「実施関連出願」かつ「外国関連出願」である
  • ベンチャー企業による出願であって「実施関連出願」である

このうち、(1)は、例えば、特許出願の内容が『2年以内の実施予定』であり、中国などの外国にも出願をしているケースです。また、(2)は、例えば、特許出願の内容が『2年以内の実施予定』であり、設立10年以内の個人事業主や、設立10年以内の従業員20人以下の法人などです。

3.活用方法は?

例えば、新製品に『特許取得技術!』といった用語を付して販売したり、大々的に広告を打ちたい場合には、スーパー早期審査によって早めに特許権の取得を図ると良いでしょう。特許権を取得すると、特許番号が付与され、特許証も送付されますので、ホームページに掲載したり、宣伝に活用するなど、いろいろと活用することができます。
『展示会に間に合わせたい!』といったニーズにも対応できる可能性もあります。

4.あっさり特許になってしまったら?

あまりにも速く特許になってしまうと、『ほんとにこれで良かったのかな?』なんて言う不安も生じます(笑)。特許になってしまうと、その後において、その権利内容を変更することは基本的にできないことになります。
もう少し広い権利が取れたのではないか?他の実施例についても特許がとれたのではないか?など、欲も湧いてきます(笑)。
そのような場合には、特許査定がされる前や、特許査定後において、“分割出願”をして、特許出願の子供(子出願)を作っておくことが有効となります。
子出願については、早期審査をかけずに、市場の動向をみながらじっくりと権利化を図ることができます。

5.まとめ

スーパー早期審査の制度を活用することで、より早い特許取得も可能となってきます。開発のスピードも速めることができ、開発意欲も上がることでしょう!