【第1回】退職金について~令和4年度変更点と概要~
令和4年度分(令和4年1月1日以降)に支払われる退職金から計算方法が変更されたことはご存知でしたか?
目次
- 令和4年度 退職金計算方法の変更点
– 短期退職手当等の収入金額-退職所得控除額 ≦ 300万円の場合
– 短期退職手当等の収入金額-退職所得控除額 > 300万円の場合 - 退職金とは?
– 退職金に含まれるものとは? - まとめ
– 【第二回】退職金についてのご案内
‣課税の仕組み
・源泉徴収票・特別徴収票と納付時期について
1.令和4年度 退職金計算方法の変更点
令和4年度分(令和4年1月1日以降)に支払われる退職金から計算方法が変更されたことはご存知でしたか?
令和3年度の税制改正により、下記に該当する者は、短期退職者として扱われる事となりました。
短期退職者として扱われる者
- 勤続年数が5年以下である者に対応する退職手当等として支払を受ける者
- 特定役員退職手当等※1に該当しない者
※1(参考)No.2737 役員等の勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等(特定役員退職手当等)|国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2737.htm
短期退職者の退職所得金額については、短期退職手当等の収入金額(以下、退職金)から退職所得控除額を控除した残額が300万円を超える部分については、「2分の1課税」を適用しないこととされました。
具体的には、次のように計算されます。
短期退職手当等の収入金額-退職所得控除額 ≦ 300万円 の場合
短期退職手当等の収入金額-退職所得控除額 > 300万円 の場合
注1 300 万円以下の部分の退職所得金額(300万円×1/2=150万円)
注2 300 万円を超える部分の退職所得金額
なお、この改正は、令和4年1月1日以降に、退職手当等の支給の基因となる退職をする方が対象となります。
2.退職金とは?
退職金とは、社員や役員が退職したことにより会社の退職金規定等に基づいて支給されるものです。一般的には、退職金や退職手当と呼称されますが、税務上は「退職所得」と呼ばれています。
通常、退職金が支払われると、所得税(復興特別所得税を含みます)と住民税が課されるため、退職金からの控除が必要となります。
注意点!
退職金については、社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)は課されないため控除は必要ありません。ただし、退職金前払制度などで毎月の報酬や賃金、賞与として支給されるものは除きます。
(参考)No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
退職金に含まれるものとは?
退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいいます。
以下も退職所得に該当します。
- 社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金
- 適格退職年金契約に基づいて生命保険会社または信託会社から受ける退職一時金
- 労働基準法第20条の規定により支払われる解雇予告手当
- 賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定により退職した労働者が弁済を受ける未払賃金
3.まとめ
退職金を支払った場合、「退職所得の受給に関する申告書」の提出の有無で計算方法が異なってきますのでご注意ください。また、所得税や住民税の徴収および納付が必要となります。
本人へは退職所得の源泉徴収票の交付も必要です。本人から提出された「退職所得の受給に関する申告書」は事業所にて保管いただく大切な書類となります。
第2回では退職金の課税の仕組みと計算方法について解説してまいります。(こちらからご覧いただけます)
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