労災保険の年金制度について

※こちらの情報は2024年4月時点のものです
労災保険は、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して行われる保険制度で、正式には「労働者災害補償保険」と言い、文字通り労働災害に対して生活の補償を目的とした政府管掌の保険制度です。その為、保険給付には、医療費や仕事を休んだ場合の補償だけでなく、重大な労働災害が発生した場合には被災者やその家族に対して長期または一生涯補償する年金制度もあります。そこで今回は、労災保険の中でも普段あまり深く考える機会が少ないと思われる労災保険の年金制度について解説致します。
労災保険の年金制度
労災保険の年金制度には以下3つの制度があります。
- 傷病(補償)年金
- 障害(補償)年金
- 遺族(補償)年金
※労災保険は、業務上と通勤による災害に分かれますが、通勤による災害の場合には給付の名称に「補償」という使い方はしませんが、ここではまとめて上記のように表現しています。
給付基礎日額とは?
保険給付の計算には、「給付基礎日額」が用いられ、これは労働基準法第12条の平均賃金に相当する額となり、以下の計算式で計算します。
給付基礎日額(平均賃金)=直前3か月間に支払われた賃金総額/上記賃金計算期間の暦日数
※給付基礎日額は、スライド制(賃金水準の変動に応じて給付額を適正化する為の制度)等、労災保険法独自の適用を受ける為、平均賃金と常に同額ではありません。
※労災保険特別加入者は、上記の計算式を用いず、あらかじめ申請により決定された給付基礎日額(3,500円~25,000円)となります。
※直前3か月間に支払われた賃金総額には、賞与や臨時に支払われる賃金は含みません。尚、直前一年間に支給された賞与に関しては、給付基礎日額とは別の計算方法で特別支給金として給付に反映されます(労災保険特別加入者は除く)。
傷病(補償)年金
傷病(補償)年金とは、業務上または通勤によって負傷または疾病にかかり、その療養開始後1年6か月を経過した日において以下いずれにも該当した場合に給付されます。
- 当該負傷または疾病が治っていない。
- 傷病等級第1~3級に該当している。
支給額
傷病等級 | 傷病(補償)年金の額 |
---|---|
第1級 | 給付基礎日額×313日分 |
第2級 | 給付基礎日額×277日分 |
第3級 | 給付基礎日額×245日分 |
障害(補償)年金
障害(補償)年金とは、業務上または通勤によって負傷または疾病にかかり、以下いずれにも該当した場合に給付されます。
- 当該負傷または疾病が治癒している。
- 障害等級第1~7級に該当している。
支給額
傷病等級 | 傷病(補償)年金の額 |
---|---|
第1級 | 給付基礎日額×313日分 |
第2級 | 給付基礎日額×277日分 |
第3級 | 給付基礎日額×245日分 |
第4級 | 給付基礎日額×213日分 |
第5級 | 給付基礎日額×184日分 |
第6級 | 給付基礎日額×156日分 |
第7級 | 給付基礎日額×131日分 |
遺族(補償)年金
遺族(補償)年金とは、業務上または通勤災害によって、死亡した場合にその遺族に対して給付されます。
受給権者
遺族(補償)年金を受け取ることができる遺族(受給権者)は、死亡した人の収入によって生計を維持していた以下の受給資格者で最先順位の人となります。尚、「生計を維持していた」とは、生計の一部を維持していた場合(いわゆる「共稼ぎ」)も含まれます。
①配偶者 ②子 ③父母 ④孫 ⑤祖父母 ⑥兄弟姉妹
※妻以外の遺族については、一定の年齢や障害状態にある等の要件があります。
支給額
遺族数 | 遺族(補償)年金の額 |
---|---|
1人 | 給付基礎日額×153日分 |
2人 | 給付基礎日額×201日分 |
3人 | 給付基礎日額×223日分 |
4人以上 | 給付基礎日額×245日分 |
※該当する遺族がいない場合、遺族(補償)年金は支給されず、遺族(補償)一時金(給付基礎日額×1,000日分)が給付されます。
以上のように労災保険では、万が一の重大な労働災害に対しても年金制度によって手厚い補償が行われています。補償の対象者は、労働時間や労働日数に限らず全ての労働者と特別加入者(法人の役員、個人事業主、家族従事者等で申請により加入を認められた方)です。特別加入につきましては、現在TSCで労働保険のご委託をいただいている多くの事業所様で申請をされています。まだ特別加入の申請をされていない方、労災保険についてもっと詳しく知りたい方等、お気軽にご相談下さい。

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