特別加入制度について
特別加入制度という経営者や一人親方でも国の労災保険に加入できる制度をご存知でしょうか。
目次
- 特別加入制度とは
- 特別加入の種類
- 複数事業労働者の労災補償について
- 複数事業労働者の給付例
– 会社員として働き、コンビニでバイトをしている
– 会社員として働き、フードデリバリーで請負配達をしている
– 建設業の一人親方であり、運送も個人事業主として一人で請け負っている - まとめ
1.特別加入制度とは
特別加入制度とは、事業主や家族従事者または役員の方(労働者以外の方)でも、業務の実態や災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人に、一定の要件の下に国の労災保険の給付対象として、特別に加入することを認めている制度です。
例えば…
- 中小企業の事業主
労働者とともに労働者と同様の業務に従事する場合が多い - 建設の事業などの自営業者
いわゆる一人親方として労働者を雇わずに自分自身で業務に従事するため、これらの方の業務の実態は労働者と変わらない
などのことから、上記のような方を労働者に準じて保護することを目的としています。
2.特別加入の種類
特別加入は以下4種に大別されます。
- 中小事業主等
労働者を年間延べ100日以上使用している事業主や家族従事者等 - 一人親方等
労働者を使用しないで特定の事業に従事する方 - 特定作業従事者
労働者を使用しないで特定の作業に従事する方 - 海外派遣者
海外に派遣されて労働されている方
※①を第1種特別加入、②・③を第2種特別加入、④を第3種特別加入といいます。
特にここ数年の間に上記②③の労働者を使用しないでお仕事をされる方について、対象となる特定の業種や特定の作業の種類が複数追加され対象範囲が広くなっています。
こちらは多様な働き方が増えてきた世の中の流れもあり、また副業で個人事業主としてお仕事をされる方の増加も背景にあると感じています。
例えば、運送業の一人親方の業務に【自転車を使用して貨物輸送を行う方】も対象になりました。これはフードデリバリーをイメージしていただければわかりやすいと思います。
3.複数事業労働者の労災補償について
上記の流れとともに、令和2年9月1日より、労災給付について複数事業労働者の労災補償に大きな意味を持つ法改正が施行されました。
【参考URL|厚生労働省ホームページ】
■複数事業労働者への労災給付(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/000662505.pdf
複数の事業所で働かれる方が、お仕事中や通勤途中にお怪我等された場合に、改正前は災害が発生した事業所分の賃金だけを基に計算した給付内容だったのですが、令和2年9月1日の法改正施行後はお仕事をされている事業所全ての賃金を合算した給付内容となりました。
4.複数事業労働者の給付例
例としては以下のような方々です。
① 会社員として働き、コンビニでバイトをしている
会社・コンビニとも労働者として働かれているので、労災申請については問題ありません。
② 会社員として働き、フードデリバリーで請負配達をしている
フードデリバリーの業務について特別加入に加入していない場合は、会社で発生した労災事故しか労災申請できず、また労災給付も会社分の賃金だけの内容になり、フードデリバリーの業務中にお怪我をされても国の労災請求は出来ません。
フードデリバリーの業務について特別加入しておけば、複数事業労働者としての労災給付内容になります。
③ 建設業の一人親方であり、運送も個人事業主として一人で請け負っている
建設業と運送業、それぞれで特別加入しておかないと、加入されている分しか給付対象になりません。逆にどちらも加入していれば、複数事業労働者として合算した給付内容になります。
5.まとめ
特別加入制度は、ご自身やご家族を守るための制度ですので、安心してお仕事を行うためにも、ご加入をお勧めします。
なお、労働基準監督署に申請した翌日からしか給付対象となりませんので、ご加入される際はお早目に特別加入団体へお申込みが必要になります。
■詳しくはこちら
一人親方・特定作業従事者の方の特別加入(第2種特別加入)のお問い合わせやお申し込みはこちら
https://www.cacgr.co.jp/service/hitorioyakata/