有給休暇とは?取得義務と付与の仕方を解説

2019年4月からスタートした有給休暇取得義務化から5年目を迎えました。皆さまの会社では有給休暇の取得は進んでおりますでしょうか。

中小企業の事業主様からは、「人材不足で休ませられない」「休日に給与を出す余裕がない」などのお声を聞くことが少なくありません。また、従業員の方からは「忙しくて休めない」「周りに気を遣って休みづらい」など様々な事情から有給休暇取得が定着していない事業所も多く見受けられます。

しかし、令和4年度厚生労働省就労条件総合調査の有給休暇取得率は58%を超えており、過去最高となっております。取得率を押し上げている要因の一つとして、有給休暇取得義務化があります。

大企業だけでなく、中小企業でも徐々に浸透してきている有給休暇の取得促進について、詳しく見ていきたいと思います。

目次

  1. 有給休暇は誰に、どのくらい付与するべきなのか
  2. 有給休暇取得義務化とは
  3. どのように有給休暇を取得させるのか
    <計画的付与の方法>
    (1)一斉付与方式
    – (2)交代制付与方式
    – (3)個人別付与方式
  4. まとめ

1.有給休暇は誰に、どのくらい付与するべきなのか

有給休暇は、一定の継続勤務と出勤状況が良好であることを要件とし、それを満たした労働者に対して法律上当然に、一定の継続勤務期間を経過した日に勤務年数に応じた日数が付与されます。

それは、正社員以外の社員(いわゆるパート・アルバイト社員)にも同様に権利が発生します。フルタイム正社員と短時間パート・アルバイト社員はそれぞれ以下の通りで、付与日数は労働日数や労働時間によって異なります。

勤続期間6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
付与日数10日11日12日14日16日18日20日
勤続期間 付与日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日

▼週所定労働時間30時間未満であり、かつ、週所定労働日数が4日以下の労働者

週所定
労働日数
1年間の所定
労働日数
勤続期間
6か月1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6か月以上
4日169日~216日7日8日9日10日12日13日15日
3日121日~168日5日6日6日8日9日10日11日
2日73日~120日3日4日4日5日6日6日7日
1日48日~72日1日2日2日2日3日3日3日

そして、有給休暇は労働者が持つ権利であり、「いつ休むか」を労働者が「指定」することで有給休暇が成立するということになります。会社は、上記日数の有給休暇取得申し出が労働者からあれば、事業の運営に支障をきたすもの以外はその指定された日に取得させなければなりません。

2.有給休暇取得義務化とは

有給休暇は労働者の権利であることはご理解いただいていても、「人手不足で何日も休ませられない」「本人からも申し出がないから取得させていない」など、有給休暇取得が進まない実情が未だ残ります。しかし、2019年の法改正により、10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年必ず日を指定して有給休暇を与えることが義務付けられました。この義務化により労働者が持つ有給休暇取得の権利を確実に実行させるために会社は対策を行わなければなりません。

3.どのように有給休暇を取得させるのか

有給休暇の基本的な考え方は労働者による時季指定となりますので、労働者から取得の申し出がある日に取得させることが必要です。しかし、本人から取得の申し出がない場合は、会社は本人の意向を聴いた上で、有給休暇を5日間、指定し取得させなければなりません。
その他にも、労使間で話し合いの上、計画的に有給休暇を取得する方法があります。有給休暇の取得を進めるため労働者が自由に使用できる一定の日数を確保しつつ、これを超える日数については、計画的に付与することで取得義務化された5日間について確実に付与することが出来、また取得日数の管理も行いやすく有効的な方法とされております。

計画的付与の方法

  1. 一斉付与方式
    企業や事業所全体の労働者に対して同一の日に有給休暇を付与する方式(例えば製造業など、操業をストップさせて全労働者を休ませることができる事業所で活用されています)

  2. 交代制付与方式
    班・グループ別に交代で有給休暇を付与する方式(例えば流通・サービス業など定休日を増やすことが難しい企業で活用されています)

  3. 個人別付与方式
    夏季、年末年始、ゴールデンウイークのほか、誕生日や結婚記念日など労働者の個人的な記念日を優先的し、有給休暇を付与する方式

計画的付与の導入には、労使協定を結ぶことが必要となります。労使間で話し合いをしっかり行ったうえで進めていきましょう。
また、一度決めた日程は変更出来ない点も注意が必要です。

4.まとめ

働き方改革の推進により、日本の労働環境は過度な労働時間の改善が進んできています。有給休暇取得促進も労働時間を見直すための大切な方法の一つです。

会社の実態に合った方法を取り入れて有給休暇取得義務化に対応しつつ、労使間及び労働者間での話し合いで理解を進めることで、さらなる有給休暇取得促進を図り、労働者のゆとりある生活に寄与し、働きやすい職場づくりを進めてみてはいかがでしょうか。

■詳しくはこちら

人事・労務コンサルティング|企業の総合病院🄬シーエーシーグループ
https://www.cacgr.co.jp/service/consult/

当社では、貴社で作成された就業規則および36協定届※1のリーガルチェックを無料で行っています。※1.弊社テンプレートをご使用のものに限ります。※会員様限定のサービスです。

お気軽にご相談ください。

就業規則・36協定届無料チェック|企業の総合病院🄬シーエーシーグループ
https://www.cacgr.co.jp/clients/service/syugyokisoku/
※閲覧にはIDとパスワードが必要です(会報誌ポケットプレスの裏面をご確認ください)

初年度一年間無料!

■無料資料ダウンロード

資料無料ダウンロード!就業規則作成のポイント5選
資料無料ダウンロード!就業規則作成のポイント5選