【Q&A】同一労働同一賃金 均衡待遇・均等待遇について
※こちらの情報は2021年1月時点のものです
Q.相談内容
当社は中小企業で、有期雇用者やパートタイマーを雇用しています。あるパートタイマーから、賃金について正社員と比較して差がある理由の説明を求められましたが、どのように説明したらよいかわかりません。説明するために、最初に何をしなければならないでしょうか?2021年4月から適用されるパートタイム・有期雇用労働法の「同一労働・同一賃金」が気になっております。
A.回答
比較対象となる通常の労働者をピックアップして比較を行い、待遇差がある賃金の支給条件について、均衡待遇もしくは均等待遇を図らなければなりません。
均衡待遇…「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」「その他の事情」を考慮して不合理な待遇差を禁止することです。(パートタイム・有期雇用労働法第8条)
均等待遇…「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」が同じである場合は、差別的取り扱いと考えられるため、正社員と比較して賃金に待遇差を設けることを禁止することです。(パートタイム・有期雇用労働法第9条)
【例】複数店舗を構える賃貸不動産会社の本社において
本社にある総務部で勤務するAさん(正社員)とBさん(パートタイマー)が、毎日総務の業務をこなしている場合、Aさんが、営業部、賃貸管理部や人事部へ異動する可能性があったり、他の店舗に異動することがある場合は均衡待遇を、無い場合は均等待遇を図ることになります。
通常の労働者…フルタイム勤務する者(正社員や無期雇用者)のことを指します。ただし、通常の労働者が複数いる場合も考えられるので、この場合は、それぞれの通常の労働者の「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」をパートタイマーと比較して「同じ」か「異なるか」確認する必要があります。両方異なる、もしくは片方が異なる場合は均衡待遇を、両方同じである場合は均等待遇を図らなければなりません。
また、説明を行う時は説明を求めたパートタイマーと「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」が最も近い通常の労働者と比較して行うことが必要です。
職務の内容…要するに、通常行う業務内容です。
職務の内容・配置の変更の範囲…要するに、異動や転勤の有無や、その範囲(例えば、全国なのか住所地の県内のみなのか)のことです。
均衡待遇、均等待遇の比較対象となる通常の労働者の範囲は同一企業内であり、同一事業場ではございません。また今回は賃金だけを取り上げていますが、法律上は賃金だけでなく、休暇、施設利用の福利厚生や安全衛生、教育訓練等すべての待遇を指します。
2021年4月から適用されるパートタイム・有期雇用労働法の「同一労働・同一賃金」の対応の最初のステップとして、均衡待遇・均等待遇を説明致しました。次回は、均衡待遇を図るための点検・検討手順について説明させて頂きます。
【参考URL|厚生労働省】
■不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル|リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000494536.pdf