助成金・補助金と知的財産

著者:【弁理士】大上 寛

※こちらの情報は2020年11月時点のものです

皆さんこんにちは!弁理士の大上です。
11月に入り年末も近づいて参りました。少し早いですが今年を振り返って最も大きな出来事は新型コロナウィルスの影響ということになると思います。日本では2月ごろまでは比較的楽観的なムードであったと記憶しております。クルーズ船や、中国からの法人帰国の際には大きなニュースになり、5月の緊急事態宣言が出されたころには緊張のピークであったように思います。withコロナ、アフターコロナといわれて久しいですが、気温が低くなる冬の時期を前に、改めて対策の遵守、強化に努めたいものであります。

今回は、助成金・補助金と知的財産についてのお話です。

政府によるさまざまな経済対策、支援施策がなされ、緊急融資などを利用された方も多かったものと存じます。これまで、補助金や助成金に興味がなかった方も、今回の新型コロナウィルスをきっかけに、実際に申請をされたり、検討をされた方も多くおられたと存じます。

専門家の相談支援を無料で受けられるという施策もありました。
また、助成金・補助金において、専門家による支援やコンサルティングに要する費用も補助・助成対象となるものも存在しておりました。

事業をする上で自社技術には特許権、実用権、意匠権が関係し、自社ブランドには商標権が大きく関係して参ります。これらの権利についても専門家は「弁理士」ですので、必要がありましたら「弁理士」に相談をされることをおすすめします。

助成金・補助金の申請には、申請書が必要となります。この申請書には、事業計画書が求められる場合が多く、事業計画書に記載された内容が助成・補助の合否判定において非常に重要となります。

すでに特許権や意匠権、商標権などをお持ちの場合には、積極的にアピールすることが有効です。ある助成金・補助金では、採択された事業のタイトルとして「自社特許技術を活用した〇〇サービス」などがありました。特許技術ということは新規技術であることと同等であることになりますので、審査においては加点対象とされる可能性が高いはずです。

他方、現時点で権利を取得していない場合には、助成金・補助金の申請のタイミングにアイデアをまとめ、並行して特許出願などをされることも有効です。特許出願などを弁理士に依頼する際には費用が発生し、また、特許庁に支払う印紙代も必要となります。特に特許出願の場合には、印紙代も高額になり、一般的には合計で40万円~60万円程度となります。このような費用を助成金・補助金で賄えることは、非常に有効なものとなります。

なお、特許権や商標権などは、出願をしてから審査結果がでるまでは、1年~2年を要する場合が一般的です。ある程度長期的な視点をもって、事業スケジュールを検討いただくのがよろしいと考えます。

知的財産権の取得に関する費用が、助成金・補助金の対象となる場合があることについては、ぜひ覚えておいていただきたいです。
具体的な補助金・助成金については、各制度の募集要項をご確認ください。