2020年著作権法改正について
※こちらの情報は2021年2月時点のものです
「鬼滅の刃」がすごい人気ですね。10月16日の劇場公開から10日間での観客動員数が798万人!!歴代最速で興行収入100億円に達したとのこと。知ったかぶりな言い方をしていますが、実は私は未だ見ていません…。さて、日本の誇る文化である漫画は著作権で保護されています。今回は、以前も少し触れた2020年の著作権法改正について解説します。
2020年著作権法改正
「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」が、第201回通常国会において成立し、令和2年6月12日に公布されました。この著作権法改正の中で、今回は皆さんの関心の高い3つの改正点について説明します。
海賊版対策
《リーチサイト対策》
(著作権法113条2項~4項等)
「はるか夢の址」等、違法にアップロードされた著作物へのリンク情報を集約したリーチサイトにより著作者が受けた被害額は膨大であり、これらリーチサイトを規制するための改正が行われました。今回の改正により、リーチサイトを運営する行為を刑事罰(5年以下の懲役又は500万円以下の罰金)の対象とすること、リーチサイトにおいて侵害コンテンツへのリンクを掲載する行為を、著作権を侵害する行為とみなし、民事上・刑事上(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)の責任を科すことが可能となりました。
《侵害コンテンツのダウンロード違法化》
(同30条1項4号、2項等)
違法にアップロードされた著作物のダウンロード規制の対象を、音楽・映像から著作物全般に拡大する改正が行われました。これにより、漫画・書籍・論文・コンピュータプログラムなども違法にアップロードされているものをダウンロードすれば著作権侵害となります。ただし、規制の対象は、違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードする場合に限られます。また、漫画の1コマ~数コマなど「軽微なもの」、二次創作・パロディなどは規制対象から除外されています。
写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大
(同第30条の2)
「写り込み」は、著作物の利用を主たる目的としない他の行為に付随的に生じる利用であり、権利者に与える不利益が軽微であることを理由に、著作権を侵害しない行為とされます。スマートフォンなどによる動画投稿の利用が拡大している社会実体に鑑み、写り込みに係る権利制限規定の対象範囲を拡大する対策が取られました。具体的には、「写真の撮影」、「録音」、「録画」に限定されていた対象が、複製や伝達行為全般に拡大されました。これにより、例えば、スクリーンショット、生配信等による写り込みも対象となり、著作権を侵害しない行為とされました。その他、日常生活において一般的に行われる行為に伴う写り込みが幅広く認められることとなりました。
まとめ
写真の撮影で著作物が写り込むのと同じように、スクリーンショットによって著作物が写り込む行為も著作権侵害とはならないように法整備されました。他の例としては、ドローンで撮影した映像にたまたま著作物が移り込むようなケースも著作権を侵害しない行為となり、現代の技術を利用した活動を国民が行うときに、行き過ぎた規制がされないように著作権法が改正されました。