商標の早期審査制度について

著者:【弁理士】大上 寛

※こちらの情報は2021年3月時点のものです

早いもので2021年も2か月経過し3月に入ります。2月は日数も少なく、また、3月は年度末ということで、なんとなくソワソワしませんか?卒業、入学、入社、転勤、転職、引っ越しなど、3月から4月にかけてバタバタすることも多いですが、環境の変化にうまく対応しつつ、新しいことを取り入れて、限界を超えて行きたいですね!
…ちょうど『自分の限界を超える』というような動画をみて感化されたところです(笑)。一流アスリートの方々が実践されている方法や、スポーツに関する理論はとてもおもしろく、参考になるなあと思いました。『ビジネスアスリート(登録商標)』という用語が使われておりますが、いい表現だなあと思いました。『サラリーマン』よりもカッコいいですね。
…『博士』には引き続き限界超えを期待しております!(笑)
さて、今回は商標の早期審査制度の紹介をさせていただきます。

1.商標登録の審査に時間がかかる?

新しい事業を始めるとき、商品開発をするときは、事業計画、開発計画を立てることになりますが、事業のスタートや商品の上市が半年後、一年後であることはよくあることだと思います。
その事業や商品に使用する商標も合わせて検討することになりますが、どの段階で商標を検討をすべきでしょうか?
実は、最も早い時期に確定する必要があるかもしれません。特に事業規模が大きいときには、早めに確定することが求められることでしょう。
それは、商標の審査には通常1年ほど要するからです。事業スタートの3か月前になってようやく商標が確定し出願をしたとしても、登録は1年後になってしまいます。あるいは、他人の登録商標により拒絶され、場合によっては商標権侵害となってしまう可能性もあります。
従って、計画の初期段階において、仮名称をいくつか検討し、すくなくとも商標調査をしておくことが好ましく、予算に余裕があるのであれば、商標が確定していない段階であっても、一日も早く出願をしておくことが好ましいでしょう。
事業開始してから、商品を作ってから、『商標が使えない!』となったら大変です。

2.救世主…現る!?

『なんで商標取っておかなかったんだ!(怒)』という上司、経営陣の怒声が響く光景があったり、なかったりするそうですが、商標の審査期間を数か月に短縮できる制度があります。それは、『早期審査請求制度』です。
『スミマセン!すぐ取り掛かります!』ということで、急いで準備して早期審査制度を活用しましょう。担当者にとっては、まさに『救世主』ということになるかもしれませんね。

3.早期審査の要件

簡単に言うと、出願する商標を使用している、あるいは、相当の準備をしていることを証明する書面を提出することが必要になります。この場合、2か月~4か月で初回審査結果を得ることができますので、1年と比べてかなり早い段階で商標登録を取れる可能性があります。証明のための書面準備に一手間がかかりますが、審査期間を大幅に短縮できますので、必要に応じて活用したいですね。

4.自動的に審査期間が短縮される?

上記3で説明した早期審査の他にも、審査基準に掲載されている商品を指定することで、自動的に審査期間が短くなる『ファストトラック審査』というものもあります。最近では約6か月で初回審査結果が得られますので、十分なメリットが得られます。
早期審査よりも時間はかかりますが、通常審査の約半分の審査期間となりますので、ぜひ検討してみてください。

まとめ

お役所仕事に時間がかかる!?ということをよく耳にしますが、今回取り上げた早期審査制度は、いわば、順番待ちを飛び越すようなものともいえますので、なかなかないケースかもしれません。
必要な人に必要な措置ということでは、ユーザー目線という観点からも、優れた行政サービスともいえると思います。限界を超えているかもしれません(笑)。
是非活用をしたいですね!