拒絶理由通知に対する対応方法
※こちらの情報は2018年1月時点のものです
特許権を取得するためには避けては通れない壁があります。その壁が“拒絶理由通知”です。“拒絶理由通知”が発行されずにそのまま特許査定が得られる場合もありますが、多くの場合には拒絶理由が通知されます。今回は拒絶理由通知に対する対応方法について説明いたします。
拒絶理由通知とは
特許出願をした後、出願人は特許庁に対して3年以内に出願審査請求を行うことができます。出願審査請求がされた特許出願は、特許庁審査官によって審査されます。特許庁審査官は、特許出願の内容について、新規性があるか否か、進歩性があるか否か、記載上の問題があるか否か、といった観点から審査を行います。審査の結果、審査官が特許をしてもよいと判断した場合には、特許査定が通知されます。審査官が、特許出願の内容について、新規性あるいは進歩性を有さないのではとの心証を得た場合や、記載上の不備があるのではとの心証を得た場合などには、出願人に対して拒絶理由通知が発行されます。拒絶理由通知には、審査官が特許をすることができないと判断した理由が述べられます。
例えば、先行する技術文献(特許出願日よりも前に公開されていた技術文献)を挙げて、特許出願に係る発明が技術文献に対して進歩性がない、といった理由が述べられます。あるいは、特許出願に含まれる明細書(発明の内容を記載した書面)の記載が不明確である、といった理由が述べられます。
拒絶理由通知に対する対応(意見書)
拒絶理由通知を受け取った出願人は、拒絶理由通知で指定された期間内に応答をする必要があります。通常、拒絶理由通知に対して60日の応答期間が指定されます。出願人は、応答期間内に審査官に対して意見書を提出し、拒絶理由通知に対して反論することができます。
例えば、先行する技術文献に対して進歩性がないとの拒絶理由通知に対しては、本願発明と先行する技術文献との差異について主張することや、本願発明は先行技術にはない優れた効果を奏することなどを意見書において述べます。あるいは、審査官の判断に誤解があると思われる場合には、意見書において本願発明あるいは先行技術についての補足説明を行います。
拒絶理由通知に対する対応(補正書)
拒絶理由通知に対して反論だけで拒絶理由が解消できるとの自信があれば、前出した意見書の提出だけで充分です。しかし、審査官の指摘に対して反論するだけでは権利化が難しい場合、あるいは、審査官の指摘が妥当であると感じる場合もあります。このような場合には、出願の内容を補正して権利化を目指すことになります。
具体的には、特許請求の範囲(権利を主張する範囲を記載した記述)の記載を補正し、拒絶理由を解消することを目指します。ただし、特許請求の範囲を自由に補正することはできません。特許出願の時点で明細書に記載していた範囲内で補正することが可能です。
言い換えますと、特許出願の時点で出願人が開示した発明の範囲内で特許請求の範囲を補正することが可能です。補正書を提出して権利化を目指す場合にも、合わせて意見書を提出します。意見書においては、補正後の特許請求の範囲に記載された発明が進歩性を有する点などを主張します。
応答後の流れ
上述しましたように、拒絶理由通知に対しては、意見書・補正書を提出することによって権利化を目指すことになります。意見書・補正書を提出した後、審査官は再び特許出願を審査します。
審査の結果、拒絶理由が解消したと判断した場合には、特許査定が通知されます。拒絶理由が解消していないと判断した場合、再度の拒絶理由が通知される場合と拒絶査定が通知される場合があります。再度の拒絶理由通知に対しては再び意見書・補正書を提出して反論することになります。
次回は、拒絶理由通知の種類について説明させていただきます。