中国企業等による日本への出願件数

著者:【弁理士】 大上 寛

※こちらの情報は2023年7月時点のものです

7月に入りいよいよ夏本番間近となりました。コロナ禍明けの初めての夏ということで、行動制限も解除され、ようやく夏が戻ってきた!と感じられるかたも多いと思います。
さて、このコロナ禍では経済活動も制限されましたが、お隣の中国での厳しいゼロコロナ政策も話題になりました。そこで、ここ数年の中国企業(住所を中国とする企業、個人)の出願件数の動向をご紹介させていただきます

1.日本特許庁の「年次統計」

日本の特許庁では、「特許行政年次報告書」というものを毎年作成し公表をしております。特許庁の取り組みの紹介や、年次の出願件数や登録件数を発表しております。

日本国籍の企業のみならず、外国の企業、個人の出願件数などの統計も含んでおり、とても興味深いものとなります。

この出願件数は、企業の研究開発力や、ビジネス展開のバロメータとなりえます。つまり、研究開発が盛んにおこなわれている場合には、そこで生まれた発明を保護するために特許出願をしますし、日本で新たなビジネスを始めようとするのであれば日本で商標登録をしようということになります。

今回は特に日本への出願件数の多い中国企業による件数の数値をまとめてみました。

2.中国企業等の日本への出願件数について

以下は中国企業等(出願人または企業の国籍が中国であるもの)の各年の出願件数の統計です。

実用新案を除いて、特許、意匠、商標の出願件数が大きく増えております。

2020年、2021年はコロナ禍の最中でありましたが、その中でも日本への出願は増え続けていたといえます2021年では2018年と比較すると、特許・商標では2倍近くになっており、意匠では3倍に近いとも言えます

出願件数が増え続けることにはいろいろな要因があるとは思いますが、研究開発を積極的に行うとともに、積極的に海外進出を図っていることの現れであると考えます。

中国特許実用意匠商標
(マドプロ※含む)
2018年5,3255481,21210,820
2019年7,9475011,64112,508
2020年8,4067992,18218,181
2021年9,3697133,29020,255
※マドリッドプロトコル(マドリッド協定議定書)

3.日本国籍企業・個人の出願件数について

ついでに日本企業等の出願件数を調べてみたところ以下のようになりました。全体として減少傾向にあるといえると思います。技術研究・開発のバロメータとなる特許出願件数については、2021年では2018年の10%以上も減少しております
出願件数が減り続けることにはいろいろな要因があるとは思いますが、厳選をして出願しているという傾向もあるようです。

日本特許実用意匠商標
(マドプロ含む)
2018年253,6303,81023,453184,483
2019年245,3723,69322,867148,913
2020年227,3484,37722,485135,375
2021年222,4523,76222,078133,009

4.統計の意味するもの

上記の統計から近年の傾向を読み取ることができます。この傾向の捉え方は色々あると思います。コロナ禍が終わり、企業の経済活動が本格的に再開することで、傾向が変化する可能性もありますし、あるいは、より一層顕著になる可能性もあります。
日本での中国製品の広まりや浸透の現状を踏まえると、統計との関連性があるとお考えの方もいるかも知れませんね。
今回の記事を書きながら、ビジネスと知的財産(特許・商標)の関係性について、改めて考えされられました。

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