うっかり期間徒過しても大丈夫?

著者:【弁理士】 大上 寛

※こちらの情報は2023年9月時点のものです

9月に入りますが、まだまだ暑い日が続きます。コロナ禍も明け、今年は海外旅行の人気が高まったというニュースもよく聞かれるようになりました。日本中明らかに外国人旅行客を見る機会が増え、インバウンド消費の期待も高まりますね。日本の美しい四季をより多くの外国人の方に楽しんでいただきたいですね。
さて、今回は特許庁への手続き期限を過ぎてしまった場合の救済についてのお話をさせていただきます。『救済』ということで、一定の条件を満たせば助けてもらえることになります。
これで、『ウッカリ博士も安心?』ですね(笑)。

1.『イギリスでも大ウケ:安心してください』

遡ること8年前の2015年の流行語にもなった、『安心してください。〇〇〇ますよ』は、あまりにも有名ですが、今年出演したイギリスのTV番組でも大ウケとのことで、個人的にはとても嬉しかったです。『世界のヤスムラw』『日本人の誇り』『一生安泰』などというネット民の反応も面白かったです。

話を戻しますが、特許庁に対する手続きには期間が決められているものがあり、基本的には、その期間を過ぎてしまうと手続きができなくなってしまいます。例えば、『特許料の納付をうっかり忘れていて特許が切れてしまった!』という場合には、せっかくの特許技術が自由技術となってしまい、他社の実施を制限できなくなってしまいます。意匠権や商標権も消滅してしまうことで、他社に自由に使われてしまうことになります。もはや企業にとって死活問題となります。

2.従来から救済制度はあったが……

これまでも特許庁は一定条件のもと救済を認めていましたが、大地震が生じて手続きができなかった場合などの「正当な理由」が必要とされ、救済を認めてもらうためのハードルはとても高いものでした

特許の年金や商標の更新の期限管理はとても重要ですが、年に1回、あるいは、数年や10年に1回の場合もあり、相当に注意をしていないとうっかり期限が過ぎてしまうこともあります。

また、特許出願では出願日から3年以内に出願審査請求をする必要がありますが、うっかり3年を経過してしまうと出願が自動的に取り下げられてしまうことになります。
『担当していた特許出願の審査請求の手続きを忘れたため出世の道が閉ざされた』という知人がいました。出世との関係の真偽はどうであれ、いずれにしても大惨事であります。

代理で案件を預かる特許事務所においては、期限を徒過することでクライアントを失うことにもなってしまいます。

3.新制度により救済されやすくなった!

今年2023年の4月に改正法が施行され、救済のための要件が緩和されました。これにより、手続き期限を過ぎても救済が認められやすくなりました。

『安心してください。救済されますよ!』といったケースが増えそうです。とはいっても、これまでと同様に期限管理をしっかりとしなければなりません。

4.新制度の救済の要件:故意でないこと

救済が認められる手続きは決まっていますので、全ての手続きについて救済が認められるわけではありません。上述した年金や審査請求は救済の対象となり得ますので安心してください。

基本的には期限が過ぎたことを知ってから、2か月以内に救済手続をしなければなりません。気づいたら急いで救済を受けるための手続きをしましょう。

さらに、期限を過ぎてから1年以内(商標の場合は6か月)という条件もありますので、注意が必要です。定期的に期限のチェックをしていれば、この期限を過ぎることを回避できる可能性が高まります。

そして、期限の徒過が「故意ではない」ということも説明する必要があります。

最後になりますが、回復のための料金を特許庁に支払う必要があります。具体的には、特許:212,100円、実用新案:21,800円、意匠:24,500円、商標:86,400円というように法域で変わります。高いか安いかは場合によると思いますが、いわゆる『お金で解決できれば御の字』という意見もあります。

5.まとめ

今回は救済のお話でした。もし『うっかり期限を過ぎてしまった!』というときには今日のお話を思い出し、弁理士に相談してみてください。『安心してください。救済されますよ!』となるかもです(笑)。

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