画像生成AIと著作権との関係
※こちらの情報は2023年10月時点のものです
エンジェルス大谷選手の試合速報を聞くのが毎日楽しみです。9月上旬時点で既にホームランの数は44本で、ホームランランキング独走中です。さらに、投手としては10勝を挙げているという信じられない成績です。昨今は、AIに人の仕事が奪われるのではないかという危惧があります。実際、多くの場面で少しずつAIにより提供されるサービスが増えています。そんな中で、スポーツ選手の地位は揺るがないなぁと羨ましく思います。
さて、今回は8月号に引き続き生成系AIの話題です。前回の原稿を書いてからのわずか2か月の間にもChat-GPTを含め生成系AIのニュースが多く報道されました。生成系AIの勢いは加速しています。今回のテーマは、画像生成AIと著作権との関係です。
従来型のAIと異なり、生成系AIは新しいコンテンツを生成可能であることを前回お話ししました。生成系AIは、画像、動画、楽曲、文章など様々な新しいコンテンツを生成可能です。生成系AIにより生成される画像については、著作権との関係が問題視されています。生成系AIが、他人の画風を真似た新しい画像を生成することが可能であるためです。
画像生成AIと著作権
生成系AIが画像を生成するためには、第1の段階としてAIによる学習段階があります。学習段階では、AIは膨大な数の画像(著作物)を学習します。第2の段階として学習済みのAIにより新たな画像が生成されます。文化庁は、画像生成AIと著作権との関係を、開発・学習段階と生成・利用段階に分けて説明しています。
開発・学習段階
開発・学習段階では、AIに学習させるための多数の画像(著作物)がデータセットとして収集され、それらデータセットがAIに与えられます。これにより、AIが学習を行い、学習済みのAIモデルが構築されます。この段階について、文化庁は、「AI開発のような情報解析等において、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権者の許諾なく利用することが可能」としています。
生成・利用段階
生成・利用段階では、学習済みのAIモデルを利用して新たな画像が生成されます。文化庁は、「AIを利用して生成した画像等をアップロードして公表したり、複製物を販売したりする場合の著作権侵害の判断は、著作権法で利用が認められている場合を除き、通常の著作権侵害と同様」としています。つまり、生成された画像と他人の著作物との間に類似性や依拠性が認められれば、著作権侵害となると説明しています。
文化庁の現在の見解をまとめると、様々な画像(著作物)を利用して学習済みAIモデルを構築することは著作権侵害となりません。したがって、研究目的で画像生成AIを構築し、生成された画像を個人で楽しむなどの範囲であれば著作権侵害となりません。しかし、学習済みAIモデルを利用して、元の著作物と類似したような画像を生成し、これをインターネットにアップロードしたり、複製物を販売したりすると著作権侵害となる、ということです。AIは、色々な想定を超えて急速に発展しているため、文化庁の見解も法律もその変化に対応していくことになります。AI開発者およびユーザは、AIの発展、動向によって常に最新の情報を取得する必要があると思われます。
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