知的財産権の出願件数

著者:【弁理士】坂根 剛

※こちらの情報は2024年2月時点のものです

このところの円安状態は定常化しており、150円前後のドル/円にも慣れてきてしまったように感じます。日銀による緩和政策はいつまで続くのでしょうか。日本は確かに安全で安定した国ですが、豊かな国なのかどうかよく分からない時代です。産業分野の状況についてはどうでしょうか。自動車業界は高い水準を維持していますが、中国メーカーとの争いは熾烈です。エレクトロニクス業界はシェアを取り戻すために苦戦が続いています。特許出願などの知的財産権の出願件数は、産業競争力のバロメーターと言えます。今月のテーマは、「知的財産権の出願件数」です

日本の特許出願件数

2022年の日本の特許出願件数は、289,530件です。この数についてどのように感じられたでしょうか。おそらく非常に多いと思われたのではないでしょうか。確かに28万件という数は少なくない数ですが、実は、この数は近年激減してきた結果です。というのも2000年代の前半は、日本の特許出願件数は40万件を超えていたからです。当時と比べると件数は30%以上も下落しています。特許出願の数は日本の技術力のバロメーターであるとすると、非常に大きな問題と言えます。もちろん件数だけが重要な訳ではありません。日本の企業の多くが特許出願について量から質への転換を図った結果でもあります。

他国の特許出願件数

他の国の出願件数の状況を見てみましょう。出願件数が最も多いのはやはり中国です。2022年の中国の特許出願件数はなんと161.9万件です。実に日本の5倍以上の出願件数です。次に出願件数が多いのが米国の64.7万件です。日本は、中国、米国に次ぎ世界で3番目に出願件数の多い国です。かつて日本の特許出願件数は世界で最多でしたが、米国、中国に追い越され、現在では件数の差は大きく広がっています。特許出願について量から質への転換を図ったという事情があったとしても、それだけでは説明できない差が生じていると考えられます

国際特許出願件数

2022年の日本の国際特許出願の件数は、50,354件でこれも世界第3位です。中国が、70,001件で1位、米国が58,699件で2位です。より重要な技術を出願する国際特許出願に関しては、日本と米中との差は小さいと言えます。

商標出願件数

2022年の日本の商標出願件数(国際商標登録出願を含む)は、170,275件です。一方、2022年の中国の商標出願件数は751.6万件です。その差は44倍を超え、特許出願以上に中国との差は大きくなっています。2022年の米国の商標出願件数は78.8万件です。

このように日本は中国、米国に次いで知的財産の出願件数の多い国です。日本が世界有数の技術力を持った国であることは間違いないですが、米中との差が広がっているという状況です。中国の人口は日本の11.2倍、米国の人口は日本の2.6倍であり、確かに米中とは人口の差はあります。人が多ければ多いほど新しいアイデアが生まれる可能性が多いことも事実です。少子化により今後人口減少に向かう日本にとって、この差がさらに大きくなる懸念があります

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