氏名の商標登録
※こちらの情報は2019年9月時点のものです
早いもので9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続きます。来年はいよいよ東京オリンピックですが、どのような結果になっているでしょうね。日本人選手へのメダルの期待もかかりますが、何よりも事故や不正などがなく、無事にビッグイベントが成功してくれることを祈ります。
さて、毎度のこと??ですが、大きなイベントがあると、選手名や、キャッチフレーズの商標登録が話題になります。最近では、『そだね〜』、『令和』、『KIMONO』などが話題になりました。東京オリンピックでスターが誕生すれば、その選手名の登録や、関連ワードが商標登録出願されることが予想されますね。いまから、出場選手名の出願を狙っている人もいるかもしれません(笑)。
ところが、『氏名』については、商標登録が認められないケースがあります。今日はそのお話です。
氏名についての規定
商標法、第4条第1項第8号には、以下のように規定されており、該当する場合には拒絶がされます。
『他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)』
つまり、『氏名』に該当するものを商標登録出願をした場合には、審査において、この条文に該当するかが判断されます。
実際には、審査官は、インターネット等でその『氏名』を検索し、その『氏名』がヒットした場合には、出願人に対し、『他人の氏名であるため登録を認めない』と拒絶します。したがって、悪意のある出願人が勝手に他人の『氏名』を出願した場合には、その『氏名』が審査官によって発見された場合には、審査官が拒絶をしてくれることになり、登録を防ぐことができます。
逆に、審査官により他人の氏名が発見されなかった場合には、登録が認められるということになります。オリンピック選手であれば、トップアスリートであり一定の著名性を獲得していることが考えられるため、審査官は容易に見つけることができると考えられます。
なお、『氏名』は漢字のほか、アルファベットやカタカナ表記も含みます。
自分の『氏名』を商標登録出願した場合
この場合も、同じ氏名の他人が審査官により発見された場合には、拒絶されてしまいます。
【例外】承諾書がある場合
上記の例外として、他人の承諾がある場合には登録が認められることになります。
例えば、甲さんが『氏名A』を出願したところ、審査において、『氏名Aが発見されたので登録を認めない』と拒絶されたとします。この場合、甲さんが氏名Aの方から、『甲さんによる氏名Aの登録を認めます』という『承諾書』をもらうことにより、登録が認められることになります。
登録例は多くあります!
ここでの記載は避けますが、有名女優、有名占い師、演歌歌手、などなど、氏名での登録は多く存在します。芸名などもありますし、本名の場合もあります。権利者が芸能プロダクションであって、所属タレント名を商標登録し、他人の悪意の利用を避けるために商標登録をしている例も多くあります。また、著名人ではない方の氏名の登録もあります。
むすび
いかがでしたでしょうか?
氏名が商標登録できることを初めて知ったという方もいらっしゃるかもしれません。
もし、ご自身の氏名を商標登録してみたいと思った場合には、まずは、インターネットで検索をするといいと思います。もし、同一の氏名が検索されなかった場合には登録の可能性も出てきますので、ぜひ一度やってみてくださいね。