特許権の譲渡やライセンスについて
※こちらの情報は2019年11月時点のものです
すっかり秋の気配も深まり、いい季節になりました。年末に向けてもうひと頑張りですね! 毎年思いますが、一年が早い!!来年はいよいよ東京オリンピックです。これからどんどん盛り上がっていきそうですね!!さて、今回は特許権の譲渡やライセンスに関することについてお話をいたします。
特許権とは
まず、特許権ですが、この権利があると、権利範囲内の技術を独占排他的に実施することが可能になります。
独占ですから権利者だけがその技術を使用することができ、他者が実施した場合には特許権侵害として損害賠償を求めることができる強力な権利です。
競合他社との開発競争において、様々な発明が生まれ、その中から特許権が成立します。
競合他社同士は、互いに相手方の技術動向を常にウォッチングし、どんな特許出願がされているのか、どんな特許権が成立したかを常に見張っています。
競合同士なので、自社の特許技術が競合他社に使われた場合には、非常に憤慨しますよね!そこで、侵害している侵害していないの熾烈な争いが生じます。競合同士なので、そのいがみ合い?や、技術争いは激しくなります。お互いに、他社の特許権を侵害しないように慎重に製品化を進める必要があります。
このように特許権は競争の激しい市場において、非常に重要な権利となります。
特許権の譲渡(売却)
以上のように特許権は強力な権利なのですが、その権利を譲渡することも可能です。例えば、自社では製品化を断念した技術に特許権がある場合に、その特許権は必要がないので、有償で譲渡するという場合があります。あるいは、日本と中国で取得した特許権について、中国での販路が無いため中国の会社に有償で譲渡するという場合もあります。
最近の弊所での事案ですが、「日本のA社の特許権を買いたいのでA社にコンタクトしてほしい」という依頼がありました。弊所は代理人としてA社にコンタクトし面談の機会をいただきましたが、全くご感心がないようで、「これは見込みがないかな?」と思っていたところ、後日、「ぜひ前向きに進めさせていただきたい!」という連絡をいただきました。おそらく、海外部門の上層部の鋭い嗅覚が働き、話を進めることになったのでしょうね。特許権の譲渡交渉を通じて巨大な中国市場でのパートナーシップの構築や、さらなる世界市場の開拓など、可能性は大きく広がるのです。このように特許権を交渉のツールとして有効に活用することができるのです。
特許権のライセンス(実施許諾)
特許権は譲渡するだけでなく、ライセンス契約によって他社に実施を認めることも可能です。ライセンス料を徴収することで、特許権を有効活用することができます。
競合同士においても、ライセンス契約はよく行われます。競合他社にお金を払ってまで技術の利用を許してもらう(許諾)というのは、大変心苦しいところではありますが、相手方の特許技術を使わないとどうしても自社製品を実施できないというような場合には、ライセンスを認めてもらうということしか有りません。もし、相手方がライセンスを認めてくれない場合には、自社製品が販売できず、事業縮小などを強いられてしまいます。
ここで、仮に、自社で優れた特許技術を有しており、相手方がこの特許技術を使いたいという場合には、お互いに特許技術の使用を認め合うクロスライセンス契約というものが可能となります。これによれば、相手方と対等に交渉ができることになります。
このようなことからも、常に開発を続け、特許権を積み上げて置くことは非常に有効な手段となります。
むすび
特許権の譲渡やライセンスについて、簡単に説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
まずは特許権が無いと始まりません。競合他社がひしめく中で、特許権がある場合とない場合とでは、状況が大きく変わってきます。
また、海外販路を広めるためにも、日本で開発された技術を外国で権利化しておくことは非常に有効なものとなります。
特許権を活用すれば世界市場をリードできるといっても過言ではないでしょう。