【Q&A】メール等による労働条件明示

※こちらの情報は2021年9月時点のものです

Q.相談内容

新型コロナウイルス感染症の対策としてテレワーク勤務を行なっておりますが、今回新たに雇用することとなった労働者への労働条件の明示について、メールにて行うことは可能でしょうか。また、注意点はありますでしょうか。

A.回答

労働条件の明示を電子メール等で行うことは可能です。ただし、メール等での明示を労働者が希望した場合に限ることとされ、書面として出力可能な方法で送付する必要があります。

1.労働条件の明示方法

労働基準法施行規則第5条により、労働条件の明示方法は原則「書面の交付」によることとしつつ、労働者が「希望した場合」に限り以下の方法によることができることとされています。
①ファクシミリによる送信
②電子メール等の送信

ただし、電子メール等による明示を行う場合、以下の点に注意する必要がございます。

  • 労働者がそのメール等を出力することにより書面を作成することができるものに限るとされている。そのため、メール、SNS等で明示する場合は、印刷や保存がしやすいよう添付ファイルで送る事が望ましい。
  • SNS等による明示は禁止されていないが、PDF等ファイルが添付できず文字数制限もあるため望ましくない。
  • トラブルを未然に防止するため、メール等が到達したか労働者へ確認すること、また、労働者へ可能な限り出力して保存するよう伝えることが望ましい。
  • 労働契約締結時に明示を怠ること、また、労働者が希望していないにも関わらず電子メール等のみで明示することは、労働基準関係法令違反(30万円以下の罰金)となる為、メール等での明示希望があったことの記録を保存しておくことが望ましい。
2.希望があったことの記録の保存

メール等による送信の方法による明示を行う場合においても、書面による交付と同様、明示する際の様式は自由であるが、トラブルの未然防止の観点から、「明示しなければならない事項」に加え、「明示を行った日付」や、当該電子メール等を送信した「担当者の個人名」だけでなく「労働条件を明示した主体である事業場や法人等の名称」、「使用者の氏名」等を記入することが望ましいとされています。これと併せて、「労働者本人から希望があった旨」についても明示の文面の中に盛り込んで、全体を記録として保存しておくことが望ましいでしょう。

【参照】
労働基準法15条 労働基準法施行規則第5条 平成30年12月28日基発1228第15号第4<その他の留意事項>