【Q&A】従業員が精神障害を発症した場合の対応

※こちらの情報は2022年3月時点のものです

Q.相談内容

従業員から業務外が原因と考えられる「精神障害(うつ病)」を発症したと連絡があり、会社としては退職してもらいたいときの対応について教えてください。

A.回答

就業規則に基づき「休職制度」を適用して頂くことが可能です。状況に応じ、退職勧奨の対応を取ることもご検討頂く必要があります。

  • 今後の雇用について
    まず、ご本人の雇用継続の意思について確認をする必要があります。ご本人に退職の意思がある場合には、退職届を提出させる扱いで問題ございません。ご本人に雇用継続意思がある場合には、下記の休職制度や退職勧奨等の対応を行うこととなります。なお、療養期間について、欠勤や休職の扱いとする場合、一般的には無給となります。そして、社会保険に加入している場合、無給期間であっても毎月社会保険料の納付が必要であり、ご本人負担分も通常通り発生します。また、健康保険被保険者であれば、傷病手当金の対象になる可能性もありますので、申請手続きを行うことが望ましいでしょう。
  • 休職制度について
    休職制度を適用させる場合、就業規則への規定が必要となります。休職事由、休職期間、休職期間満了後の扱い等が規定されているかご確認ください。また、「医師の診断書」を提出させることも一般的であり、診断書に記載された療養期間を尊重して休職期間を設定することも可能と考えられます。休職期間が満了しても復職できない場合には「自然退職」の扱いが有効です。ただし、不当に短い期間を設定することは、公序良俗違反として無効となるおそれがありますので、ご注意ください。
  • 退職勧奨について
    様々な事情により、休職制度を適用せず、早急にご本人に退職してもらいたいケースも想定されます。その場合、退職届の提出を促すという対応が考えられます。そこで、一定の条件を満たす場合には退職後の継続給付として傷病手当金を受給し続けることも可能であること、また、退職しない場合には社会保険料ご本人負担が発生することもご説明頂くことで、退職勧奨の実効性を高める効果が期待されます。勧奨に応じない場合には、解雇のご検討を頂く必要があります。ただし、労働契約法より「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」とされ、不当解雇として揉めるリスクがありますので、慎重にご対応頂く必要がございます。

弊社では、休職制度や退職、解雇に関する規定等に関して、就業規則の作成・変更サービスを承っております。是非ご検討ください。

労働契約の終了(退職・解雇等)に関するルールにつきましては、以下厚生労働省ホームページURLをご参照ください。

【参考URL | 厚生労働省ホームページ】
労働契約の終了に関するルール
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/keiyakushuryo_rule.html