【Q&A】新型コロナウイルス収束後のテレワークの廃止について
※こちらの情報は2022年7月時点のものです
Q.相談内容
新型コロナウィルスの感染予防対策としてテレワークを導入して1年が経過しましたが、新型コロナ収束後にテレワークの廃止は可能でしょうか。
A.回答
廃止は可能ですが、同措置が本当に合理的か否か等を検討する必要がございます。
また、根拠となるテレワーク規定がある場合、ない場合とに分けてご説明させて頂きます。
①テレワーク規定を作成している場合
テレワーク規定の中にテレワーク勤務を行う場合には所属長からの許可を受けなければならないなど許可制にしていれば、会社より業務の都合上、テレワーク勤務の必要性はないとして許可を取り消します。この場合、許可・不許可(人事権の行使)が権利濫用(労働契約法3条の5項)にあたるかどうか争われる余地がありますが、最終的には、テレワーク勤務をしている従業員の利益(テレワークの為、感染リスクが低いという利益)と出勤して効率良く業務を遂行してもらう会社の利益を量りにかけて権利濫用か否かが判断されます。この場合、不許可とすることについて規定に根拠があるため労使間で揉める可能性は低いと思います。
②テレワーク規定を作成しておらず、業務命令にてテレワークを実施している場合
業務命令でこれを元に戻す(会社施設へ勤務場所を戻す)場合、改めて会社施設で勤務するよう業務命令を発令するほかありません。これは、使用者の一方的な命令となります。従って、労働債務(従業員から使用者へ労働を提供する義務)の枠組み(場所)を一方的に変更するうえで、a.従業員にどれだけの不利益が生じるのか、b.労働債務(従業員から使用者へ労働を提供する義務)の枠組み(場所)を一方的に変更する業務上の必要性があり、内容も相当かを考慮して判断します。この場合も会社からの業務命令で働く場所を元に戻すだけになるため、労使間で揉める可能性は低いと思います。