【Q&A】完全歩合制

※こちらの情報は2023年9月時点のものです

Q.相談内容

賃金の全額を歩合給にすることは可能でしょうか。

A.回答

労働時間に応じ一定額の賃金が保障されていれば、賃金の全額を歩合給とする、完全歩合制の採用は可能となります。

<完全歩合制における注意点>

労働基準法では、賃金の保障について下記の通り定められております。

労働基準法 第27条

出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

その為、成果があがっていない場合でも、無給というわけにはいかず、労働時間に応じた一定額の保障給を支給するといった措置を講じていれば、完全歩合制を採用することができます。

また、一定額の保障について法律上、その水準に関する定めはございませんが、厚生労働省は「少なくとも労働者の平均賃金の100分の60程度を保障することが妥当と思われる」としています。
なお、歩合給が最低賃金を下回らないよう注意が必要です。

以上の事から、歩合給が保障給、最低賃金を下回らない場合には、歩合給を賃金の全額とする完全歩合制は適法となります。

【例:歩合給 月30万円】

保障給水準:30万円×60%=18万円

その月の歩合給が12万円の場合 ⇒ 保障給水準との差額6万円の保障給支給が必要
その月の歩合給が20万円の場合 ⇒ 保障給の支給は不要

<完全歩合制における割増賃金>

完全歩合制を採用する場合であっても、時間外労働・休日労働・深夜労働に対する割増賃金を別途支給する必要がございます。

(参考)歩合給の割増賃金計算式

  • 時間外勤務手当【法定労働時間を超えて労働させた場合(時間外労働が1か月60時間以下の部分)】
  • 時間外勤務手当【法定労働時間を超えて労働させた場合(時間外労働が1か月60時間を超える部分)】
  • 休日勤務手当【法定の休日に労働させた場合】
  • 深夜勤務手当【午後10時から午前5時までの間に労働させた場合】

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