ガス・水道・下水道管等の私道への設置
※こちらの情報は2022年3月時点のものです
Q.質問
土地を買って自宅の建物を新築することを考えていますが、隣接の私道を経由しなければ、電気、ガス、上下水道、電話等のライフラインを敷設できません。これらを私道に設置することはできますか。
A.回答
隣の人との話合いで設置できればそれが一番いいことです。しかし、それができない場合、水道管等設置のために隣地を使用することはできるでしょうか。
仮にできないとして、隣地を通す以外に水道管等を通す方法がないとすれば、日常生活自体送ることができなくなります。ですので、このような場合には、一定の要件の下で隣地を使用する権利を認める必要があります。
下水道については、「他人の土地又は排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置又は他人の排水設備を使用し得る」(下水道法 11①)との規定があります。このように、生活廃水の排水に関しては、隣地を通過させて下水道に流すことができるものとされています。他人にとってもっとも損害の少ない方法というのは、原則として、地下に排水管を埋設する方法であろうと考えられます。
ところが、水道・ガス・電気・電話といった諸設備のために隣地使用を認めるとした明文の規定はありません。
裁判例では、隣地土地相互間の利用の調整を目的とする民法の相隣関係規定(民法209、210、211、220条等)、及び、先程の下水道法第11条の規定の趣旨を類推して、一定の要件のもと、その使用を認める傾向にあります。すなわち、このようなライフラインの設置場所は、設置するのに必要かつ最も合理的な方法であることが要件とされ、具体的には、日常生活に水道水等が必要であること、他に敷設方法がないこと、その方法の合理性・合目的性・損害が少ないこと等の事情があれば、水道管等敷設のための私道の使用を受忍すべきであるとしています。