成年後見制度(特に高齢者の方の財産保護)

著者:【弁護士】吉川 法生

※こちらの情報は2023年9月時点のものです

成年後見制度とは、精神上の障害、認知症等により判断能力が十分でないため契約等の法律行為における意思決定が困難な方々について、後見人等の機関がその判断能力を補い、生命、身体、自由、財産等を保護することを目的とした制度です。

この成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度に大別されます。
法定後見制度は、法律による後見の制度であり、後見、保佐、補助の三つの制度から構成されています。この法定後見制度では、本人の判断能力が不十分な状態になってから、申立によって、家庭裁判所が後見人等を選任し、その後見人等に権限を付与します。
任意後見制度は、契約による後見の制度で、本人が判断能力のある間に判断能力が不十分な状態に備えて契約によって任意後見人を選任し、その任意後見人に権限を付与する制度です。


今回は法廷後見制度について説明いたします。
法定後見制度(後見・保佐・補助の制度)は、現に判断能力の不十分な状態にある本人について、本人または家族(配偶者または四親等内の親族)等の申立てにより、家庭裁判所が適任と認める者を後見人等に選任する制度で、後見人等に対し法定の権限が付与されます。

①後見

精神上の障害等により判断能力(事理を弁識する能力)に欠けていることが通常の状態にある方々であり、その具体例としては、日常の買物も自分ではできない、家族の名前、自分の居場所といった日常的な事柄がわからない、完全な植物状態にある方などがあげられます。

②保佐

精神上の障害等により判断能力が著しく不十分な方々であり、その具体例としては、日常の買物程度は自分でできるが、重要な財産行為は、自分では適切に行うことができず、常に他人の援助を受ける必要がある方や、中度の認知症の方などがあげられます。

③補助

精神上の障害等により判断能力が不十分な方々であり、その具体例としては、重要な財産行為について、自分でできるかもしれないが、適切にできるかどうか危惧がある方、軽度の認知症の方などがあげられます。

後見・保佐・補助の制度においては、本人の判断能力の程度に応じて必要かつ相当な保護の内容・範囲が定められています。

①後見人の権限

後見開始の審判により、本人の財産に関する法律行為についての包括的な代理権と日常生活に関する行為以外の法律行為についての取消権が後見人に付与されます

②保佐人の権限

保佐開始の審判により、民法第13条第1項所定の行為(不動産の処分、借財や保証をすること、遺産分割をすることなどの重要な財産行為)についての法定の同意権・取消権が保佐人に付与されるとともに、当事者の選択に基づく代理権付与の審判により、特定の法律行為についての代理権を保佐人に付与することも可能です。

③補助人の権限

補助の制度の場合には、補助人に代理権を付与するのか、同意権を付与するのか、その双方を付与するのか、また、どのような法律行為について代理権または同意権・取消権を付与するのかは、すべて当事者の選択に委ねられています。すなわち、これら申立には本人の同意が必要です。補助人の権限は、補助開始の審判とは別の代理権付与の審判または同意権付与の審判により、個別具体的に定められます

これら各制度の申立にあたっては、後見人等の候補者を記載するようになっていますが、その者が適任でないと判断される場合は、弁護士などが後見人等に選任されることがあります。

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