遺言の撤回

著者:【弁護士】吉川 法生

※こちらの情報は2023年11月時点のものです

効力が生じないうちに意思表示を撤回することは原則として自由ですが、特に、遺言は人の最終意思を尊重しようとするものですので、遺言者は、その生存中何時でも、自由に遺言の全部または一部を撤回することができます。さらに、この自由を確保するために、遺言者は、その遺言の撤回権を放棄することができないとされています。

このように遺言はいつでも自由に撤回できますが、遺言が死者の真意を確保する必要から要式行為とされたのと同一の理由で、遺言の撤回は遺言の方式によって行わなければなりません。もっとも、これは遺言の方式にのっとっていればよいということですので、前の遺言と同じ方式による必要はありません。たとえば、前に作った公正証書遺言を、自筆証書遺言で撤回することも、またその逆も可能です。

遺言者が前にした遺言の趣旨と抵触する一定の行為をした場合には、抵触した部分は撤回したものとみなされます。

  1. 遺言をしたのちにこれと抵触する生前処分がなされたときは、抵触した部分は撤回されたものとみなされます。例えば、遺言者が不動産をAに相続させるという遺言書を作ったのちに、他へ売却してしまった場合です。
  2. 前の遺言と客観的に抵触する内容の遺言がのちになされれば、抵触する部分については前の遺言は後の遺言によって撤回されたものとみなされます。遺言者が「不動産をAに相続させる」という遺言をしたのち、「不動産はBに相続させる」という遺言をした場合です。

この関係で、数通の遺言書が発見された場合は、遺言は人の最終意思を尊重するものですから、のちに作成されたものが有効となります。前に作成された遺言と後に作成された遺言の内容が相反するときは、前の遺言を撤回すると書いていなくても、後の遺言で前の遺言を取消したものとみなされることになっています。遺言の方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、緊急時の特別方式の遺言など、さまざまな形式のものがありますが、ここでも、最後に作成されたものが有効となります

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