事業承継について

著者:【弁護士】吉川 法生

※こちらの情報は2019年11月時点のものです

中小企業庁の調査によりますと、今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万は後継者未定です。
これは、日本企業全体の3分の1にあたります。

現状を放置すると、中小企業廃業の急増により、2025年頃までの10年間累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があります。

全国各地の産地において後継者不在による倒産廃業が進展する中、産地における倒産・廃業の理由(複数回答)として最も多かったのは「国内需要低迷による業況の悪化」で70.6%、次いで「後継者不在」が65.4%となっています。

こうした調査からも、事業承継が喫緊の課題であることがわかります。

実際、中小企業庁は「事業承継ガイドライン」、「経営者のための事業承継マニュアル」を策定し、ホームページで公開しています。

しかし、現状は、後継者の確保や中小企業の経営自体が困難であったりして、事業承継対策が遅れているのが実態です。

「事業承継ガイドライン」では、次のような順番で全部で96ページに及ぶ説明がなされています。

  1. 事業承継の重要性
  2. 事業承継に向けた準備の進め方
  3. 事業承継の類型ごとの課題と対応策
  4. 事業承継の円滑化に資する手法
  5. 個人事業主の事業承継
  6. 中小企業の事業承継をサポートする仕組み

2.には、事業承継に向けた5つのステップが記載されています。

  1. 事業承継に向けた準備の必要性の認識
  2. 経営状況・経営課題等の把握(見える化)
  3. 事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)
  4. 事業承継計画策定・マッチング実施
  5. 事業承継の実行・M&A等の実行

そして、ポスト事業承継(成長・発展)の段階へ進みます。

事業承継の類型には、

  • 親族間承継
  • 従業員承継
  • 第3者承継(M&A)

があります。

次回から、各類型ごとに説明させていただきます。