改正高年齢者雇用安定法について

著者:【社会保険労務士】高橋 幸子

※こちらの情報は2021年9月時点のものです

高年齢雇用安定法は少子高齢化が進む中、働く意欲のある高年齢者が活躍できるような環境整備を目的として定められた法律です。改正前は65歳までの雇用確保を義務としていましたが、令和3年4月1日施行の改正高年齢者雇用安定法については70歳までの就業機会の確保について努力義務を設けております

改正前

【高年齢者雇用確保措置】

65歳まで義務

  • 65歳までの定年引上げ
  • 65歳までの継続雇用制度の導入
    (特殊関係事業主(子会社、関連会社等)によるものを含む)
  • 定年廃止

改正後 <令和3年4月1日より>

【高年齢者就業確保措置】

70歳まで努力義務

  • 70歳までの定年引上げ
  • 70歳までの継続雇用制度の導入
    ※特殊関係事業主に加えて他の事業主によるものを含む
  • 定年廃止
  • 高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に次のaやbに従事できる制度の導入
    a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
    b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

    ※④と⑤については創業支援等措置(雇用以外の措置)になり過半数労働組合、過半数代表者の同意を得て導入

現状で65歳までの継続雇用制度を導入されている企業が多いと思われます。上限年齢を70歳まで引き上げたいが、その場合体力的に不安を持つ社員も出てくるのではないかと思います。事業主と過半数労働組合等との間で十分協議し継続雇用する方の基準を設けることも可能です。ただし、客観的な判断基準が必要になり法の趣旨や他の労働関係法令、公序良俗に反するものは認められません。不適切な例としては、会社が必要と認められた者に限る、上司の推薦がある者に限るなどが挙げられ、基準がないことと等しく改正の趣旨に反するとされています。
また、改正された高年齢者雇用安定法は雇用の確保ではなく就業機会の確保であることが特徴です。

5つの措置のうちどの措置を行うかは労使間で十分に協議を行うことが望ましいとされています。1つの措置だけでも、複数の措置を組み合わせることでも問題ありません。
働き方に関する考え方が多様化する中、個人のニーズに合った働き方で働き続けてもらうための方法を検討することが重要となってきます。


※弊社では、働き方改革に関するご相談、また36協定の作成・提出も承っております。
 詳しいご相談はお気軽にTSCまでお問い合わせ下さいませ。