労働基準監督署の調査(どうして調査となったのだろう?)

著者:【社会保険労務士】越智 博

※こちらの情報は2018年8月時点のものです

 労働基準監督署の調査が入ることは数少ないです。しかし「定期監督」「申告監督」「災害時監督」「再監督」と種類があり、実際に調査が有った事業所もあります。
 会社は守らなければならない規則が多く大変ですが、多くの会社で同じような是正勧告がされていますので代表的なものを紹介します。

調査の種類

定期監督

業種やある事項など、偶然その年度に調査に当たった調査です。事前に書面により通知を受け、監督署へ資料を持参して調査を受けます。直接連絡無く労働基準監督官が訪問してくる場合もあります。

申告監督

労働者が労働基準監督署に申告したことにより行われる調査です。事前の通知があり調査の理由が書かれています。
 しかし労働者が申告したことにつき秘密を望む場合には、申告があったことも秘密となるので会社側にはわからないよう「定期監督」のように調査が行われることもあります。事前連絡が無い場合もあります。

災害時監督

労働災害のうち比較的重い事故の場合や休業が伴う労災事故が続いた場合などに、その原因調査と再発防止を目的に行われます。
 労災現場を見たり聞き取りしたりします。帳簿その他書類の検査もある可能性もあります。

再監督

前回調査の是正がされているかの確認調査です。

どんな違反事項に対し是正勧告・指摘がある?

  1. 時間外労働に関する協定が無いにもかかわらず、法定時間を超えて時間外労働を行わせている。
    →(この違反はかなりの会社で多いです。労働基準監督署に届け出が必要です)
  2. 法定労働時間(1週間の労働時間)を超えて時間外労働(残業や休日出勤)について通常の賃金の計算額の25%以上の割増賃金を支払っていない。
  3. 労働契約を結ぶ際に、労働者に対し賃金、労働時間、休憩時間、休日その他の労働条件を口頭だけとし、書面で交付していない。
  4. 常時使用する労働者に対し1年以内ごとに1回、定期健康診断を実施していない。
  5. 就業規則の未作成
    常時10人以上の労働者がいるにもかかわらず就業規則を作成していない。
  6. その他
    「休日や有給休暇を取得させているか」「労働者名簿があるか」「50人以上の事業場では衛生管理者を選任しているか」「労働日ごとに始業・終業時刻を確認記録しているか」「準備時間や片付け時間を労働時間から除外していないか」「労働災害の原因・安全衛生管理の不備」などがあります。

 例を列挙すればごく当然と言われるようなことでも、日々の営業活動や生産活動・業務に追われ、上記の管理を後回しにしている会社が多いのは事実です。
 したがって調査があった場合には多くの会社が同じような是正勧告書が出される傾向にありますので気がついた項目は今のうちに取り掛かりましょう。調査があってからではエネルギーを要しますので今のうちに。