ストレスチェックのしくみについて
※こちらの情報は2019年4月時点のものです
仕事や職場に対する強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者の割合が高くなりつつある状況下において、労働安全衛生法が改正され、定期健康診断のメンタル版ともいえる「ストレスチェック」が平成27年12月に制定されました。今回は、このストレスチェックのしくみについて説明いたします。
ストレスチェック制度とは
ストレスチェックの目的は、労働者自身が、自分にどの程度のストレスが蓄積しているのかを知ることにあります。認識しないうちにストレスがたまり、状態が悪化してしまうとうつ病などの深刻なメンタルヘルス疾患に繋がってしまいます。そこでストレスの高い状態の労働者に対して、医師の面接・助言を受けるきっかけを作るなどして、メンタルヘルス疾患を事前に防止することがストレスチェックの最大の目的です。
事業者は労働者にかかるストレスの状態を把握するためにアンケート形式の調査票に対する回答を求めます。ストレスチェックで使用する具体的な質問内容は事業者が自由に決定することができますが、厚生労働省のホームページに掲載されている「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を使用することもできます。
ストレスチェックの対象は
ストレスチェックの対象になるのは、労働者が常時50人以上いる事業場で、年に1回以上のストレスチェックの実施が義務づけられ、医師・保健師・産業医など(以下「医師等」という)により実施されます。なお、50人未満の事業場は、努力義務にとどまります。
また定期健康診断と異なり、ストレスチェックを受けることは労働者の義務ではありませんので強制することはできません。
ストレスチェック実施時の注意事項等
- ストレスチェックを受けた労働者は、医師等から結果の通知を受ける。なお医師等は、労働者の同意なくストレスチェックの結果を事業者に提供してはならない。
- 事業者は、ストレスチェックの結果を受けて医師の面接指導を希望する労働者に対して面接指導を行わなければならない。
- 事業者は面接指導の結果を記録しておかなければならない。
- 事業者は、労働者の健康保持のための必要な措置について、医師の意見を聴かなければならない。
- 事業者は、医師の意見を勘案し、必要があると認める場合は、労働時間の短縮等の労働条件の変更等の適切な措置を講じなければならない。
- ストレスチェック、面接指導の従事者は、その実施に関して知った労働者の秘密を漏らしてはならない。
罰則
ストレスチェックを実施しなくても罰則はありませんが、検査結果等報告書を労働基準監督署に提出しなかった場合は、50万円以下の罰金と定められています。
その他
労働者数が50人未満の事業場が対象となりますが、産業医の要件を備えた医師と契約し、ストレスチェック等を実施した場合に支給される「ストレスチェック助成金」の制度もあります。