外国人労働者を雇用する際のポイント
※こちらの情報は2020年1月時点のものです
現在の日本企業では、少子高齢化に伴う人材不足が大きな問題となっています。生産年齢人口(15歳~64歳)は、1995年の約8,700万人をピークに減少に転じており、 2015年には約7,700万人まで減少しています。
この傾向は、将来にわたって継続すると見込まれており、2060年には約4,800万人と、2015年の約6割の水準まで減少すると推計されています。こうした状況の中、人材不足を補う対応策の一つとして考えられているのが外国人労働者の受入れです。
今回は、外国人労働者を雇用する際に留意すべきポイントについて、2019年4月の入管法改正に伴い新たな在留資格として創設された「特定技能」とあわせてご説明いたします。
新たな在留資格「特定技能」について
企業が外国人労働者の受入れを行う場合、最も多く利用されている制度が技能実習制度です。2018年12月の統計によれば、就労に関する在留資格のうち「技能実習」が32万人と最も多く、次いで「技術・人文知識・国際業務」の約22万人でした。
技能実習制度は外国人労働者が自国では習得が困難な技術を身に付けるために設けられた制度で、技能実習生は自国の送出機関と日本の監理団体を通じて受入企業で就労を行います。制度本来の目的は、人材育成を通じた開発途上地域等への技能や知識の移転による国際協力を推進することで、技能実習は労働力の需給調整の手段として行われてはならないと定められています。
これに対し、2019年4月から新たな在留資格として「特定技能」が設けられた意義は、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材確保に向けた取り組みを行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野(介護・建設・外食業など)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することです。特定技能制度が技能実習制度と大きく異なる点は、技能試験と日本語試験に合格した外国人労働者であれば、受入企業と直接雇用契約を締結することができる点です。
受入企業にとっては、技能実習制度のように監理団体へ費用を支払う必要がなくなり、負担が軽減するメリットがあります。また、外国人労働者にとっても、業務区分が同一であれば日本国内で転職をすることが可能になり、自分に合った職場を選択することができるようになります。
外国人労働者の労務管理
外国人労働者であっても日本人労働者と同様に労務管理を行う必要があります。昨年、全国の労働局や労働基準監督署が外国人技能実習生の受入企業に対して行った監督指導の結果によると、法定労働時間を超える勤務や、36協定を締結することなく違法な時間外・休日労働を行わせるなど、70%以上の事業場で労働基準関係法令違反が認められています。
また、労働保険や社会保険についても日本人労働者と同様の加入手続きが必要です。厚生年金保険は6カ月以上の加入期間があれば脱退一時金を請求することができるため、退職する外国人労働者には、脱退一時金の制度説明を行う必要があります。今後、外国人労働者の雇用を検討されている会員企業様や、実際に外国人労働者を雇用されている会員企業様で労務管理に心配な点がございましたら、是非、お気軽にご相談ください。