女性活躍社会の推進に向けて

著者:【谷野会計事務所】谷野芳江

※こちらの情報は2020年7月時点のものです

女性が活躍できる社会を目指して、女性活躍推進法の改正、消費税増税分を活用した「子ども子育て支援新制度」、企業等からの事業主拠出金を財源とした「仕事・子育て両立支援事業」「新・放課後子ども総合プラン」など数々の施策が打ち出されています。特に令和元年10月から始まった幼児教育・保育の無償化は、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子供たち、 住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでの子供たちの利用料を無料とするもので、多くの子育て世代がすでに恩恵を被っています。

女性活躍推進法の改正

一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大

一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍推進に関する情報の公表義務を課される企業の対象が、常時雇用する労働者が301人以上の企業から、令和4年4月1日以降は101人以上の企業に拡大されます。

女性活躍に関する情報公開の強化

常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、女性活躍に関する情報について、

  1. 職業生活に関する機会の提供に関する実績
  2. 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績

各項目から1項目以上を公表する必要があります。これは、令和2年6月1日からの施行です。

特例認定制度(プラチナえるぼし)の創設

女性の活躍推進に関する状況等が優良な事業主に対して、従来の認定(えるぼし認定)よりも水準の高い「プラチナえるぼし」の認定制度が創設されます。これも令和2年6月1日からの施行です。

子どもの子育て支援新制度

子ども・子育て支援のための新制度では、「量」と「質」の両面から子育てを社会全体で支えることを目指します。

量の充実

支援を必要とするすべての家庭が利用できることを目指して、子どもの年齢や親の就労状況などに応じた選択肢を増やすことにより、多様な支援を利用できるようにします。1人目はもちろん、2人目、3人目も安心して子育てができるように、待機児童の完全解消に向けた取り組みが構想されています。

質も確保

幼稚園や保育所、認定こども園などの職員配置を改善し、子どもたちにより目が届くように、職員1人が担当する子どもの数が減らされました。例えば3歳児の場合の職員の割合を、従来の20人に対し1人から、15人に対し1人にするなどです。また、幼稚園や保育所、認定こども園などの職員の処遇改善を行い、職場への定着促進や研修の充実などによって、質の高い人材の確保を目指すこととしています。

新・放課後子ども総合プラン

共働き家庭等の「小1の壁」・「待機児童」を解消し、児童が放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を⾏うことができるように、放課後児童クラブと放課後子供教室の両事業の計画的な整備等を推進するため新たなプランが策定されました。量的拡充の面では、⼥性就業率の目標を80%として令和5年度末までに約30万人分の放課後児童の受け皿を整備する予定です。

企業主導型保育事業

従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童対策に貢献することを目的として、平成28年度に創設されました。

各企業の実情と働き方に応じた多様で柔軟な保育サービスの提供が可能となります。また、複数の企業が共同で設置したり、地域住民の子供を受け入れたりすることもできます。運営費・整備費については認可施設並みの助成が受けられます。親の職場のそばに保育所があるのはとても安心です。

新型コロナの感染拡大で在宅勤務の増加など、働き方の急な変化に直面しています。子育てについての地域との連携強化、企業側の仕事の進め方の見直しなど、将来に向けた新たな働き方が緊急の課題として私たちに突きつけられています。このような状況の中で、女性活躍社会の推進のために設計された新制度の有効性が、あらためて試されています。