認可外保育所も無償化の対象に
※こちらの情報は2019年11月時点のものです
いよいよ幼児教育・保育の無償化がこの10月からスタートしました。
「保育の必要性の認定」は必要ですが、子ども・子育て支援法改正により、認可外保育施設も、保育無償化の対象となりました。
ここで心配になるのは、保育の質の問題です。あえて認可外保育所を経営し、独自の保育理念のもと優良な保育を提供している事業所もありますが、今回の無償化は、基準を満たさず安全性が担保できない認可外保育所まで、経過措置の名目で一律に無償化の対象としてしまいました。仕事と子育てを両立していく子育て世代にとって無償化はとてもありがたい制度ですが、保護者自身が制度をよく理解し、大事な子供を預ける保育所を選ぶ基準をしっかり持たなければなりません。
認可保育園と認可外保育園の違い
「認可保育園」とは
施設の広さ・人員・設備などで国が定めた基準を満たし、各都道府県知事等に設置を認可されているのが、認可保育園です。保育料は区市町村が保護者の収入に応じて定めているため、その地域内のどの保育園に入園しても原則同じ金額です。また、公的資金補助があるため、相対的に低額に抑えられています。入園要件は、保護者が仕事などで日中に児童を保育する人がいないなど、「保育の必要性」があると区市町村が認定した児童を保育する施設です。
「認可外保育園」とは
前述の基準を何らかの理由で満たさず、認可が受けられない施設が認可外保育園です。全て民間での運営になります。保育料は自由設定で、従来は保護者からの保育料のみで運営してきたため、比較的高めですが、東京都の認証保育園など自治体の補助を受けている園もあります。入園は保護者と園との直接契約で、空きがあれば就労証明書がなくても入園できます。また、保護者が在住する自治体の内外に関係なく、好きな園を選べます。
ただし、認可外保育園も、都道府県への届け出が必要です。また都道府県が行う指導監督(報告徴収、立入調査など)の対象になります。調査には、区市町村の職員が同行します。認可されていないからといって、自治体のチェックがなく放任状態ということではありません。
認可外保育園も幼保無償化の対象
認可外保育園は今まで公的補助を受けずに運営されてきたため、保育料は認可保育園に比べると割高でしたが、認可保育園に入れない児童の受け皿として年々重要性が増していました。そのため、今回の幼保無償化でも、下表のように金額の上限はありますが、一定の基準を満たすことを条件に補助の対象とされることになりました。
認可外保育施設等の無償化の基準(経過措置あり)
認可外保育施設等には、街中のいわゆる認可外保育施設(企業主導型保育事業を除く)のほか、ベビーホテル、ベビーシッター、市町村から認可されていない事業所内保育、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリーサポート事業が含まれます。
認可外保育施設等も基本的には国が定める指導監督の基準を満たすもののみ、無償化の対象となります。基準を満たしていない認可外保育施設等を利用した場合には、原則として無償化の対象にはなりません。
しかし、認可保育所へ入園できず、しかたなく認可外を利用する場合も多くあります。そのため、今後の利用者の公平性を図るとともに、認可外施設等の質の向上を促すために、5年間は経過措置として、国が定める基準を満たしていない場合でも、無償化対象に加えることになりました。
この経過措置では、保育士の配置などで国の基準を満たさない等の認可外保育施設等を自治体独自の判断で条例により無償化の対象から外すことも可能とされていますが、2019年7月時点で全国の政令市や中核市など75市区のうち6市区しか独自の制度を設けておらず、自治体独自の規制はほとんど実施されていないのが実情です。
認可外保育施設を利用する際の留意点
保護者が認可外保育施設等を利用する際に注意しなければならない点を列挙してみます。
- 保育の様子、施設・設備等
子どもが落ち着いて過ごしているか、保育をしている人の子どもに対する接し方はどうかなど、保育中の様子。施設や設備(子どもの避難に適した2ヶ所二方向の避難階段、子ども一人当たりの保育室の面積、トイレや手洗い場など)の確認 - 職員数・有資格者数
保育をする人や保育士等の資格を持っている職員の数が、基準に定められた範囲内かどうかの確認 - 保育理念
園長や保育をしている人に、保育に対する考え方や保育方針、保育内容などについての聞き取り - 保育料
保育料は、必要なサービスが適正な価格で提供されたものといえるかの確認 - 利用者に対する情報提供
利用者に対し、情報公開がきちんと行われているか確認
認可外保育所は定員に空きがあれば誰でも利用できます。法律改正により、5年間の経過措置があるため、届出だけで無償化の対象となります。企業主導型保育事業も多くの問題点が発生し、制度の見直しがされています。認可外保育所の無償化も同じ結果になるのではと心配する声も多い中でスタートしました。繰り返しますが、我が子の人生の基礎となる大切な時期に長時間預ける保育園は慎重に選びましょう。