介護分野における新たな外国人材の受入れ
※こちらの情報は2020年1月時点のものです
介護分野では、深刻な人材不足が続いています。政府は、介護人材確保のための総合的な対策に取り組んでおり、その一環として介護分野への外国人の受け入れ拡大が進んでいます。
介護業界で働くことができる外国人の在留資格には、EPA(経済連携協定)・在留資格「介護」・技能実習・特定技能1号の4種類があります。
今回は2019年4月より導入された新しい在留資格「特定技能」についてご説明します。
「特定技能」は外国人労働者としての在留資格
新たな外国人材の受入れのための在留資格「特定技能」は、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れるためのものです。介護を含めて、建設業、宿泊業、農業、漁業、外食業などの14の業種が対象となります。
「特定技能」には1号と2号があります。
1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
2号は、1号より熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、試験等に合格することを条件に与えられますが、2021年度から建設業と造船・舶用工業の2業種に対して、試験が実施される予定です。
「技能実習」との違い
「技能実習」は、以前より入管法の運用によって事実上の労働力導入手段として実施されてきましたが、その実態を改善する目的で、2017年11月より技能実習法が施行されました。同法にもとづく「技能実習」は、日本の優れた技能、技術、知識を、開発途上地域の経済発展を担う人づくりのための国際協力の推進を制度目的としていますので、これを利用している個別企業の実態はともかくとして、本来は労働力を導入したり、調整したりするための制度ではありません。
「1号特定技能」を取得する要件
1号特定技能の在留資格を取得するためには、次のどちらかが必要となります。
- 特定技能評価試験に合格
- 技能実習2号を修了
受入れ機関と登録支援機関
1.受入れ機関
受入れ機関(特定技能所属機関)とは、1号特定技能外国人を実際に受け入れ、支援する企業・個人事業主等のことで、外国人材と雇用契約(「特定技能雇用契約」という)を結びます。その雇用契約は、外国人の報酬額が日本人と同等以上であることを含め所要の基準に適合していることが求められます。
2.登録支援機関
登録支援機関とは、受入れ機関(特定技能所属機関)から委託を受け、1号特定技能外国人支援計画の全ての業務を実施する者のことです。受入れ機関(特定技能所属機関)は、1号特定技能外国人に対し支援を行わなければなりませんが、その支援を登録支援機関に委託することができます。委託を受ける機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」でなければなりません。
これからの日本は、外国人労働者が増え続けていく社会になると予測されます。文化、習慣、言語の違いによるコミュニケーションの難しさなど問題点も多いのですが、外国人労働者と私たち日本国民が、お互いに理解し尊重し協力しながら、共に楽しく働ける幸せな社会を築いていきたいものです。
外国人介護人材受入れの仕組み
(注1)平成29年度より、養成施設卒業者も国家試験合格が必要となった。ただし、平成33年度までの卒業者には卒業後5年間の経過措置が設けられている。
(注2)「新しい経済対策パッケージ」(平成29年12月8日閣議決定)において、「介護分野における技能実習や留学中の資格外活動による3年以上の実務経験に加え、実務者研修を受講し、介護福祉士の国家試験に合格した外国人に在留資格を認めること」とされており、現在、法務省において法務省令の改正に向けて準備中。
(注3)4年間にわたりEPA介護福祉士候補者として就労・研修に適切に従事したと認められる者については、「特定技能1号」への移行に当たり、技能試験及び日本語試験等を免除。